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<ヘイトスピーチ>法規制消極論に一石…在日コリアン弁護士協シンポ
専門の学者を迎えてのパネルディスカッション
 ヘイトスピーチ(差別扇動)に対する抗議の声が全国で高まっている。しかし、日本の憲法および国際人権法の学界では「ヘイトスピーチの法規制は表現の自由を侵す」という意見が支配的だ。こうした雰囲気に在日コリアン弁護士協会(金竜介代表)が5日、東京・千代田区の連合会館でシンポジウムを開き、「積極的に法規制するべきだ」と一石を投じた。
 
被害実態の直視を
憲法学者も一定の理解
 
 基調報告で同志社大学の板垣竜太教授(朝鮮近現代社会史・植民地主義研究)は、「ヘイトスピーチは『特殊な集団』が引き起こした目新しい『特殊な現象』」との認識に次のように異議を唱えた。「法務省の啓発キャンペーンを見る限り、歴史的に形成されてきたとの当事者意識が感じられない。教えれば消えるものではなく、植民地主義の歴史を踏まえて取り組むべきだ」と指摘した。
 
 続いて国連人権NGOヒューマンライツナウの調査報告書をもとに、ヘイトスピーチによる被害実態が明らかにされた。それによれば、恐怖心を味わい、自尊心を傷つけられたばかりか、「うつ状態になった」、「本名を名乗っている子どもが自分の出自を否定的にとらえるようになった」といった事例も見られた。報告した金星姫弁護士は最後を「規制の可否を考えるきっかけに」と結んだ。
 
 続いて金昌浩弁護士が報告に立ち、米国におけるヘイトクライム(憎悪犯罪)・ヘイトスピーチ規制に触れながら「ヘイトクライム法がないことでヘイトクライムの蔓延を許してしまっている。米国並みのヘイトクライム法制の導入を検討するべきだ」と提案した。
 
 報告を踏まえてのパネルディスカッションには板垣教授と首都大学の木村草太准教授(憲法学)が加わり、どこまで規制できるのかを弁護士2人と踏み込んで討論した。
 
 自らパネリストの一人として壇上に上がった在日コリアン弁護士協の金代表は、「日本人と私たちの現状認識はまったく違う」と、法的規制に否定的もしくは消極的な弁護士や憲法学者を批判した。
 
 また、金哲敏弁護士も関東大震災時の同胞虐殺を例に挙げ、「やるほうとやられるほうでは脅威に対する感じかたがまったく違う」と述べた。
 
 これに対して木村准教授は、「明らかに規制してはいけない一線はあるものの、規制すべきものが規制されていない。ただし、刑罰を科すだけでは終わらない。どこで線を引くかが法規制の論点となる」との考えを明らかにした。また、板垣教授は、国や行政が被害実態の調査に乗り出すべきだと提案した。
 
(2015.12.9 民団新聞)
 
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