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<民団中央人権擁護委>「在日コリアンへの差別」…国連人権理にレポート提出
地方参政権・公務就任権など

 今年11月に国連人権理事会における日本政府の第3回普遍的定期的審査(UPR)がジュネーブで実施されるが、民団中央本部・人権擁護委員会(李根廾儖長)は3月30付日で1,地方選挙権2,公務就任権3,ヘイトスピーチなど4項目にわたる「日本における在日コリアンへの差別に関して」と題したレポート(原本英文)を国連人権高等弁務官事務所(人権理事会事務局)に提出した。

 国連加盟全193カ国で審査した後、勧告を出すという方式で行われる。日本政府の前回の審査は2012年10月に行われており、今回の審査が3回目となる。以下、民団が提出したレポートの要旨を紹介する。

1.地方選挙権の保障

 《問題点》

 在日コリアンの多くは日本で生まれ育ち、生活の拠点を日本に置いている。納税をはじめとした日本人と同様の義務を果たしているにもかかわらず、地方選挙権さえ認められていない。

 《勧告の履行》

 履行していない。外国人の地方選挙権について、日本政府は国連に適切な報告を行っていない。在日コリアンを含む旧植民地出身者への地方選挙権の否定は自由権規約2条及び26条、人種差別撤廃条約2条と5条(c)及び国連マイノリティ権利に反するものである。

 《提言》

 日本政府は在日コリアンなどの旧植民地出身者を含む永住外国人に対して、その歴史的経緯と生活実態に鑑み、少なくとも地方公共団体の選挙における選挙権を保障すべきである。

2.公務就任権の制限

 《問題点》

 在日コリアンは日本の地方公務員管理職への就任または昇任が制限されている。

 《勧告の履行》

 履行していない。日本政府は外国人の公務就任権について、国連に情報提供をしていない。

 《提言》

 地方公務員の管理職に外国人が昇任することを禁止する法律、行政規則、及び制度運用を撤廃すべきである。調停委員、司法委員、消防職員などの公務員について、外国人の任用を禁じる法律、行政規則、制度運用を撤廃すべきである。

3.ヘイトスピーチ根絶

 《問題点》

 日本では数年前から在日コリアンをはじめとした民族的マイノリティに対するヘイトスピーチが蔓延しているが、対策が不充分である。また日本には、ヘイトクライムに対処するための法制度が全く存在しない。

 《勧告の履行》

 部分的に履行された。16年6月に法律が制定されたことは評価できるが、同法だけではヘイトスピーチの根絶には不充分である。また、日本政府は「動機の悪質性が適切に立証され、裁判所において量刑上考慮されているものと認識している」と言うが、日本には差別的動機に基づく犯罪を一律に加重して処罰する「ヘイトクライム法」は存在せず、動機の悪質性を考慮するか否かは裁判官の裁量に委ねられている。

 在日コリアンに対する差別的動機に基づく犯罪において、動機の悪質性が考慮されたことにより量刑が通常よりも重くなった事例は、本団が知る限り確認されていない。

 《提言》

 国及び地方自治体は、1,ヘイトスピーチ対策法に基づき、相談体制の整備、教育活動、啓発活動を具体的に実施しこの活動の具体的な執行のために必要とする予算や人員を割り当てるべきである。2,人種差別を助長し扇動する団体のデモ及び集会、公共の施設などの利用を禁止すべきである。3,インターネット上のヘイトスピーチに関し、被害者の申し立てを待たなくとも、ヘイトスピーチなどの削除を事業者などに命じられる体制を整備すべきである。4,マイノリティ集団への差別を扇動する虚偽の情報については、虚偽が明らかになった時点で速やかにそれが虚偽であることを明らかにし、当該情報の削除を事業者などに命じられる体制を整備すべきである。

 日本政府は人種差別撤廃条約4条(a)(b)に関する留保を撤回し、ヘイトスピーチを法律で処罰すべき違法行為または犯罪であると認めて、直接的に法的規制・処罰の対象とする法律の策定に努力すべきである。

4.基本法の制定

 《問題点》

 日本政府は在日コリアンが自由権規約27条、子どもの権利条約30条、及び国連マイノリティ権利宣言が定める民族的または種族的マイノリティに該当することを否定している。

 《提言》

 1,日本政府は旧植民地出身者である在日コリアンについて、原則として日本国籍者と同等の権利を確保するために、旧植民地出身者及びその子孫の権利を保障する総合的な基本法を制定すべきである。

 2,この基本法においては、在日コリアン及びその子孫を国際人権条約及び国連マイノリティ権利宣言が規定するマイノリティであると認め、在日コリアンの民族的、文化的、言語的独自性を保護し、その独自性を促進するための条件を整備する具体的内容を盛り込むべきである。

 3,日本政府及び地方公共団体は、少なくとも在日コリアンが一定数以上在籍する学校においては、在日コリアンの民族の言語や文化、歴史を学習する民族学級の設置を制度として保障すべきである。

5.差別禁止法の制定

 《問題点》

 国際機関からの度重なる勧告にも関わらず、日本には包括的な差別禁止法が存在しない。

 《提言》

 1,日本政府は国籍差別及び人種差別に関する実態調査を定期的に行うべきである。その際には国籍別及び民族的出身別に分けられた社会的経済的指標に関する包括的で、信頼に足りる最新の統計データを集めるべきである。

 2,日本政府は直接的または間接的な人種差別を禁止する包括的な差別禁止法を制定すべきである。

 3,また、人種差別及び国籍差別の被害者が適切な法的救済を追求することを可能にすべく、パリ原則に従った独立した国内人権機関の設置を行うべきである。

(2017.5.24 民団新聞)
 
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