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70年の歴史に幕引く 兵庫県伊丹市「中村」同胞集落
市民団体の企画したフィールドワークから
公営住宅入居が実現 強制徴用の史実どう残すか

 【兵庫】在日同胞の特殊な歴史的な背景をいまにとどめ、70年以上の歴史を重ねてきた「伊丹市中村地区」の地名が今春にも姿を消す。07年2月に南側隣接地に完成した第1期市営桑津住宅に住民50世帯が入居し、残る世帯も間もなく完成する第2期桑津市営住宅に移転するからだ。地元自治会の200回以上にわたる伊丹市との粘り強い交渉が実った。

 「伊丹市中村地区」は大阪国際空港の北西に接し、大阪空港の滑走路に食い込むようような形で残されている。広さは3・4ヘクタールと甲子園球場にほぼ匹敵する。このほとんどが国土交通省の所管する空港・河川用地の国有地で、現在も95世帯202人が暮らしている。

 70年、大阪万博開催に合わせて3000坦蠢路が完成すると、ジェット機の騒音がトタン屋根の粗末な住居を直撃した。歴史的経緯や人道上の配慮から上水道と電気、電話は供給されているが、中村地区だけは騒音対策から外れ、下水道も未だに未整備のまま。雨が降れば浸水する。ガスはプロパンガスだ。

 国に対し、中村地区自治会(中村地区移転対策委員会)では長年にわたって環境問題の改善を求めてきた。話し合いの末、自治会は01年に集団移転で合意した。翌年9月には国土交通省、兵庫県、独立行政法人空港周辺整備機構、伊丹市による中村地区整備協議会が発足し、自治会による本格的な交渉が始まった。

 6年間に及んだ交渉をまとめあげた自治会の丹山判同会長は9日、市民団体の企画した中村地区でのフィールドワーク席上、「伊丹市が国と一生懸命交渉してくれた。自治会の団結も早期解決につながった」と話した。一方、住民側には解放前、旧陸軍の空港拡張工事のために強制徴用されたという歴史事実まで忘れ去られることには抵抗感が残るようだ。

 同自治会の朱昭一副会長は「市営住宅に移り住んだ後も、中村地区で生きてきたという確かな歴史を後世に残していかなければならない。これが私たちの生きた証になる」と話す。

 解放直後の中村地区には行き場を失った住民200世帯約1000人が住み、養豚業や密造酒製造などで生活してきた。

(2008.1.16 民団新聞)
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