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知は平等‐小さな図書館運動…38カ所増え文化の街に
一般社団法人日本地域資源研究所(2500円+税)。03(5278)8782
格差解消に図書館づくりの重要性を語る柳区長
 韓国を含む世界14カ国、47館の図書館をめぐり、そこで出会った知の感動を綴った『世界の図書館 夢を育む知のミュージアム』(一般社団法人日本地域資源研究所刊)の著者で、2010年にソウル・冠岳区の区長に就任した柳鍾 さんは2月14日、日本地域資源学会主催の国際シンポジウム「都市を再生する魔法のミュージアム」で、「世界の図書館と冠岳区の未来プロジェクト」と題する特別講演を東京の韓国文化院で行った。区長就任後から展開している「知識の福祉」に基づく「小さな図書館」運動などについて語った。

 講演ではまず、自ら訪ねて調査したなかから、象徴的な図書館を取り上げて紹介した。

 紀元前3世紀につくられた人類最初のアレクサンドリア図書館(エジプト)は、アルキメデスやユウクレイデスらを輩出しており、地球の外周を初めて測定したエラトステネスは、40年間館長を務めたことで知られる。さらに好奇心と知識欲が旺盛だったクレオパトラは、少女の頃から図書館を愛用し、知識を磨き上げたという。

 次いでアドモンド修道院図書館(オーストリア)とアンジェリカ修道院図書館(イタリア)、世界最大規模のアメリカ議会図書館、フランス国立図書館ミッテラン館の特徴について説明した後、図書館と深いつながりのあるオバマ前大統領や発明王トーマス・エジソンなど著名人のエピソードも披露した。

 後半は、冠岳区で学びのきっかけを働きかける「小さな図書館」をたくさんつくることで、格差と貧困を解消するプロジェクトの取り組みについて話した。

 同区は53万人が暮らす典型的な庶民の町。かつて丘の上にはタルトンネと呼ばれる貧民街が散在していたが、都市の再開発などでバラックはアパートに変わった。だが、ソウル大学を除けばこれといった産業施設や企業もなく、住民の所得水準も高くない。本を購入したり、知識に触れることが困難な人は多いと、説明した。

 柳区長は「幼い頃に知識が充分に与えられないと精神の欠乏を招き、将来の夢さえ見られなくなる。誰でも太陽の恵みを受けられるのと同じに、知識の恵みを受けられるようにするのが知識の福祉だ」と熱を込めて語った。

 就任前に5つだった図書館は、43カ所に増えた。冠岳山チケット売場や廃棄コンテナを改造して図書館にしたり、既存の建物やスペースを活用しているのが特徴だ。また、洞ごとにある民間団体「セマウル文庫」の20カ所と協力体系を結び、ボランティアスタッフに運営を任せることで、コスト削減を実現した。

 庁舎1階に設置した小さな図書館は1日約1000人が利用。作家を招いてブックコンサートを開いたり、講義やイベントも多く行われる。庁舎に立ち寄った住民たちは休憩のかたわら、本を読んだり、集まった人たちと語りあったりと、くつろぎの空間として愛されている。

 同区内の一部の地下鉄駅には「冠岳U図書館」(無人ユビキタス図書館)が設置され、通勤時に申し込みをすると、帰宅するときに受け取れることから利用者が増えている。そしてミニバスが最寄りの図書館や地下鉄駅まで本を届ける「知識弁当の配達」では、昨年1年間に配達された本は40万件になった。

 高齢者のこれまでの生活を記録し、子どもたちに残す文化運動「老人自伝事業」では、これまで約60冊を出版するなど、数々の取り組みを紹介した。

 「冠岳区は住民から図書館と読書運動の支持を受け、以前のタルトンネというイメージから抜け出し、知能文化の街に変わった。住民たちが今の私を作ったのは、小さな図書館だったと話す日が来ることを期待している」

(2017.3.8 民団新聞)
 
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