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<社説>THAAD配備に揺れる韓国…決然と示せ国防の覚悟
 米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の駐韓米軍への配備決定をめぐって、韓国が激しく揺れている。反対世論の噴出は織り込み済みとはいえ、暗たんたる思いが募る。「時間」に余裕がないからだ。

実戦配備視野に

 THAAD配備は核・ミサイル兵器の開発に突き進む北韓の軍事的脅威から韓国を守るための、現段階では最低限の措置と言わねばならない。それにもかかわらず、政府が導入に慎重だったのは、北韓リスクに対処するうえで協力を取りつけねばならない中国・ロシアが強硬に反発していることによる。

 その事情はいまも変わらない。しかし、中ロとの関係を多少犠牲にすることと、北韓が核弾頭搭載の各種ミサイルを実戦配備する可能性を視野に入れた防衛体制の強化とはまるで次元が異なる。北韓は今年に入って4回目の核実験を強行し、長・中距離弾道ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を繰り返して精度を向上させてきた。近く5回目の核実験を行うとの観測もしきりだ。

 不安定感を増す内外情勢も、韓国から「時間」を奪いつつある。11月に行われる米大統領選挙の共和党候補トランプ氏は、駐韓米軍の経費負担増を求め、対韓FTA(自由貿易協定)の見直しにも言及するなど、韓米関係を変容させる可能性を否定していない。

 良識からかけ離れた過激な発言への反発は強く、トランプ氏が当選する確率は低いとされる。だが、英国の国民投票は当初の予想を裏切ってEU(欧州連合)離脱を選択した。トランプ氏を押し上げているのはその「英国第一」と同質の「米国第一」主義だ。

内外に余裕なく

 グローバル化の勝者であるはずの欧米諸国でその負の側面をとらえ、反エスタブリッシュメント感情が渦巻いている。民主党のクリントン候補が勝利しても、「米国は一つ」であることを体現するためにトランプ支持層の要求を無視できまい。

 危機感を隠さない日本は、トランプ氏が大統領になっても米国の政策が容易には転換できないよう、安保・経済の両面で既存関係をいっそう固めるべく腐心している。米国に対して同じ危機感を抱くだけでなく、北韓の脅威がどの国よりも身近な韓国こそ、軍事面を優先に韓米関係をより堅固にする努力を怠れないはずだ。

 THAADはレーダーと迎撃ミサイルを搭載した複数の車両で構成される。日本はこのレーダーを青森と京都の自衛隊基地に配備しており、九州、沖縄などに追加配備する計画という。弾道ミサイルを高度70〜500舛之涎發任る「SM‐3」を備えたイージス艦を有し、有効高度15〜40舛離僖肇螢ット「PAC‐3」を各地に配備しているのに加え、THAADミサイルとともに超音速巡航ミサイルを迎撃する「中SAM改」の導入も推進中だ。

 韓国はイージス艦に「SM‐3」を搭載していない。低高度対応のパトリオットが陸上にあるだけだ。三重四重に備えようとする日本に比べていかに手薄か歴然としている。THAAD配備によってやっと初期段階の多層防御が可能になるにすぎない。

 国会の緊急質疑で野党のある有力議員は「休戦ラインで長射程砲がソウルに向かって火を吐く瞬間すべてが終わる」「配備すれば北韓が核を放棄するのか」と詰め寄った。「北韓を刺激するだけ」「中国の軍事的、経済的報復を招く」といった言説もかまびすしい。

住民は理解する

 配備先の住民たちもTHAADレーダーが発する電磁波による「健康被害」や農作物「被害」などへの懸念から強硬な反対姿勢を見せている。だが、同レーダーが10年前から稼働する日本でも被害はなんら確認されていない。遠からず住民の懸念は解消されよう。

 注目すべきは、米国産牛肉をめぐるデマに踊らされ国政をマヒさせた狂牛病騒動や済州道海軍基地建設反対運動のように、反政府・反米へと過激化することがないよう、住民自らが職業的な反体制活動家を排除していることだ。そこに韓国の救いを見る。

 問題は政治的な、ためにする反対運動だ。韓国は現在の混沌とした政治状況を整理できないまま、2017年12月の第19代大統領選挙への渦中でむしろ亀裂を複雑に広げかねない。18年2月には大統領の離就任と平昌冬季五輪が重なる。差し迫った安保問題を政争の具に供しないためにも、THAADの早期配備に全力が注がれねばならない。

(2016.7.27 民団新聞)
 
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