地方本部 HP 記事検索
特集 | 社会・地域 | 同胞生活 | 本国関係 | スポーツ | 韓国エンタメ | 文化・芸能 | 生活相談Q&A | 本部・支部
Home > ニュース > コラム
読みたいウリ絵本<36>心打つ少女のやさしさ
文 ユン・ドンジェ 絵 キム・ジェホン 訳 ピョン・キジャ 出版社 岩崎書店
70年代の韓国のビニール傘
 寒さが一年でもっとも厳しい時期です。冷たい雨なんか降る日には、なんだか心まで冷えてしまいそうになりますよね。そんなときに、読んでいただきたい絵本があります。

 今回は『ヨンイのビニールがさ』という、心があたたくなる絵本を紹介しましょう。

 韓国の国民から愛されてきた童詩や童謡に絵をつけた、「ウリ詩絵本」という人気シリーズがあります。このコラムでも『しろいは うさぎ』、『よじはん よじはん』、『とんぼ』(第12、15、28回で紹介)をとりあげてきました。今回の絵本も、そのシリーズのなかのひとつ。そう、文が詩の絵本です。

 詩人のユン・ドンジェが、この詩を発表したのは1980年代のはじめでした。韓国は高度成長期に入ってもしばらくの間、人々の生活はまだまだ豊かではありませんでした。

 当時は多くの国民が、写真のようなビニール傘を使っていたのです。もちろん、しっかりとした布製の傘はありました。けれどもそれは、裕福な人しか買うことのできないものだったのです。

 今のビニール傘の骨は、金属でできているのが当たり前ですよね。ところが当時の韓国のそれは竹でできていて、それに薄いビニールがはられただけの、本当に粗末なものだったのです。それでも、穴があいてしまったビニール傘をそのまま使っている人たちも大勢いたといいます。

 近年、ビニール傘は、突然の雨に困ったときに、スーパーやコンビニなどで手軽に買うことができ、うっかり置き忘れてしまっても、別に惜しいとも思わなくなりました。しかし絵本の主人公のヨンイが暮らした当時は、ビニール傘は大切なものであり、他人に気安くあげられるようなものではなかったことを知っておいてくださいね。

 それでは、内容です。

 雨が降る月曜日の朝でした。小学生のヨンイは、学校へいく道でおじいさんをみかけます。おじいさんは文房具屋のとなりの塀にもたれながら座り、雨にぬれていました。その横には、雨水であふれた空き缶が置いてありました。おじいさんは物乞いだったのです。 おじいさんは、子どもたちにからかわれ、文房具屋のおばさんからはひどいことをいわれます。それでも目を閉じたままです。

 ヨンイは朝の自習の時間が終わると外に出て、眠っているおじいさんに気づかれないよう、自分のビニール傘をそっとさしかけてあげるのでした。

 午後、雨はやみ、青空がもどってきました。学校が終わって家に帰る途中、ヨンイは文房具屋のとなりの塀に、ちらっと目をやりました。もう、おじいさんはいません。でも、そこには……。

 絵を担当したキム・ジェホンは、灰色で暗い現実を表し、緑色で人を思いやるやさしさを表しました。おじいさんをからかう子どもたちの傘や、文房具屋のおばさんの服が灰色で、ヨンイの傘が緑色なのにはちゃんと理由があるのです。

 絵本を読み終えると、物乞いのおじいさんを思うヨンイのやさしさと、おじいさんのヨンイに対する感謝の気持ちが心にしみわたり、心がぽかぽかとあたたかくなることでしょう。韓国の傑作絵本のひとつです。

キム・ファン(絵本作家)

(2016.1.15 民団新聞)
 
最も多く読まれているニュース
新しい地平切り拓く若手在日同胞...
「在日」のあなたに…いま何をしているか朴沙羅 神戸大学・大学院国際文化学研究科講師◆これまでの生き方・現在の研究テーマ...
済州に「在日村」構想…在日3世...
次世代教育の場願い 済州島の魅力をまるごと語らうシンポジウムが12月17日、東京・千代田区の在日韓国YMCA9階国際ホールであった。...
韓日友好どう進める…日本与野党...
 今年は「韓日共同宣言」から20周年の節目の年に当たる。昨年秋には、韓日の民間組織が共同申請していた朝鮮通信使がユネスコの世界記憶遺...
その他のコラムニュース
民団は何をめざすのか<下-...
就任要件すべて緩和が筋「青年・学生」「地方」焦眉の課題◆国籍条項開放、根強い拒否感 民団が在日同胞の大統合に踏み切った。そして、...
訪ねてみたい韓国の駅<23...
スキー競技と観光の玄関口 いよいよ平昌オリンピックが開幕した。この週末は、人気種目の1つである、スキージャンプ・ラージヒル個人が...
民団は何をめざすのか<下-...
闘いが変化生んだ…多様化した社会に対応へ韓国籍への執着 筆者もその一人であるが、韓国籍に対する執着は尋常でない。当...

MINDAN All Rights Reserved.