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読みたいウリ絵本<39>雪のなか ひたむきに待つ
文 イ・テジュン 絵 キム・ドンソン 訳 チョン・ミヘ 出版社 フレーベル館
『かあさん まだかな』のキャラクター人形
 今回は、キム・ドンソンの絵本、『かあさん まだかな』を紹介しましょう。

 前々回(第37回)の『クリムのしろいキャンバス』のなかで、作者が国内で「ボローニャワークショップ」という、半年に及ぶ研修を受けてからボローニャ国際児童図書展に挑戦し、見事に優秀賞を受賞したと書きましたが、覚えていますか?

 現在その「ワークショップ」の責任講師を務めているのが、ほかでもない、キム・ドンソンなのです。当然、「クリム」の指導も行ったことでしょう。

 キム・ドンソンはとても多才で、絵本のほかにも広告、ポスター、アニメ、何でもこなしますが、彼の名を多くの国民が知ることになったのが、この『かあさん…』なのです。写真のような、主人公のキャラクター人形が販売されるほどに、多くの支持を得ました。

 さて、内容です。文は、日本の統治下にあった1938年に刊行された『朝鮮児童文学集』のなかに収められたイ・テジュンの短編童話。キム・ドンソンは絵を担当しました。

 舞台は、童話がつくられたのと同じ、1930年代。寒い真冬のある日。寒さで鼻を赤くしたぼうやが、路面電車の停車場にやってきます。

 短い足で停車場に「よいしょ!」とよじ登り、停車場で電車がくるのを待っていました。

 間もなくして、電車がやってきます。ぼうやは首を傾けて、

 「ぼくのかあさんは?」と、運転士にたずねるのですが、運転士はぶっきらぼうに、

 「しらないねえ」

と答えます。しばらくして、つぎの電車がくると、また、ぼうやは首を傾けてたずねます。

 「ぼくのかあさんは?」

 そしてまた、つぎの運転士も、

 「しらないねえ」

と冷たく答えるのでした。

 そしてまた、つぎの電車がやってきました。ぼうやはまた、首を傾けて運転士にたずねます。

 運転士は降りてきて、

 「あぶないから、かあさんがくるまで、ここでじっと待っていなさい」

といいます。

 ぼうやはいわれたとおりに、じっと待ちます。

 風が吹いても、電車がきても。じっと……。

 やがて、ちらちら雪が舞いはじめます。それでもぼうやは、じっと、かあさんを待ち続けます。

 雪はだんだん激しくなって積もりだし、やがて街を白くおおってしまいます。

 その後、ぼうやはどうなったのだろうか? かあさんに会えたのだろうか? 読者はそれがとても気になるのですが、絵本には何も書いてありません。

 ただただ、じっと、かあさんを待つぼうやのひたむきな姿が、じーんと心にしみる名作絵本です。

 絵本には、停車場で頭に荷物をのせて電車を待つ女性、どこかへ走っていく男子中学生、子どもをおんぶしている女の子など、1930年代の韓国の人たちの暮らしぶりが、さりげなく描かれています。

 『かあさん まだかな』は、日本をはじめとする世界の6カ国で翻訳出版されています。日本語版の最後には、韓国語の原文も載っていますので、原文で読むのもいいでしょう。

キム・ファン(絵本作家)

(2016.2.24 民団新聞)
 
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