2年前に改定された出入国管理及び難民認定法(入管法)については大きな問題がある。日本政府が外国人政策を色々と動かしていることはすでにご承知のとおりだ。入管法改定から2年が経過したが、特に現政権になってからさらに多くの外国人政策が打ち出されている。在日韓国人に関わってくる重要な問題を6つに絞って、簡単に説明したい。
まずは、入管法改定による「永住資格の取り消し対象の拡大」だ。もともと永住資格は、1年以上の懲役・禁錮刑に処された場合などに限り「取り消し」の対象となっていたが、この対象が拡大されることになり、来年には施行される見込みだ。
ふたつ目は、マイナンバーカードと在留カード、および特別永住者証明書の一体化ができるようになり、すでに実施されている。一見すると便利なように思えるが、これにもいくつかの問題点がある。
3点目は、不動産登記における国籍欄の追加だ。これまで不動産を登記・移転する際、書類上のやり取りで国籍は自然に判明するものの、登記申請書自体に国籍を記載する欄はなかった。しかし、今後はわざわざ国籍を記載することが義務付けられる見通しだ。
4点目と5点目は、帰化要件および永住資格取得の厳格化。帰化する基準や永住資格の取得基準が非常に厳しくなってきており、これまで以上に高いハードルが課されることになる。
最後は、まだ国会には提出されていないが、おそらく来年以降に動きがあるとみられる「外国代理人登録制度」だ。簡単に言えば「スパイ活動を防止するため」の法案のようなものを日本政府は作ろうとしているのだ。これらについて、一つずつ触れていきたい。
最初は、永住資格取り消し事由の拡大についてだ。特別永住者は、現時点ではこの取り消し拡大の直接的な対象ではない。最も大きな影響を受けるのは「永住者」の人々だ。永住資格を取得するのは非常に大変なことだ。原則として10年以上日本に在住していること、懲役・禁錮などの刑罰を受けていないこと、そして税金や社会保険料などの公租公課を滞納していないこと、この3つの条件が揃わなければ申請すらできない。
現在、日本には約95万人の永住者がいる。中長期滞在の外国人約412万人のうち、約4分の1が永住資格を持っているのだ。韓国籍者は約8万人だ。一般の人は「永住資格があるから一生日本で安心して暮らせる」と思われているかもしれないが、その最も安定しているはずの在留の資格が、今後は簡単に取り消されてしまう可能性が出てきたのだ。
日本政府は「永住者が増えすぎた」「税金や社会保険料を払わない外国人がいる」「住所変更の届け出の怠りやカードの常時携帯義務違反がある」といった理由を挙げている。しかし、これらに対する裏付けとなる明確な統計や証拠は示されていない。政府は2年前にこの改定案を閣議決定し、現在ガイドラインを策定している最中なのだが、具体的な取り消し基準としていくつかの懸念点がある。
まず、1年以下の拘禁刑(旧・懲役刑および禁錮刑)についてだ。これまで1年以上の実刑は強制退去の対象だったが、今後は1年以下の拘禁刑でも永住資格取り消しの対象になる可能性が出てきた。例えば6カ月や3カ月の量刑、あるいは過失運転致死傷罪などで執行猶予がついた場合でも対象になるのか、その明確な基準は「まだ検討中だ」と言うばかりで分かっていない。
次に、公租公課(税金・社会保険料)の滞納についてである。「故意に」また「悪質に」滞納した場合に永住資格を取り消すとしているが、この「故意」「悪質」の基準が非常に曖昧なのだ。入管側の説明では「督促を受けているのに正当な理由なく払わない場合」などとしているが、何回滞納したら悪質なのか、金額がいくらなら対象なのかが不明確なままだ。
日本人であれば督促や財産差し押さえで対処する通常の手続きを、外国人に対してはいきなり永住資格取り消しという重い処分で臨む点に、私たちは強く抗議している。
さらに、地方自治体職員による通報制度も挙げられる。税金などの滞納がある永住者について、自治体職員が税務署や入管に通報できる制度が作られており、すでに115自治体が入管に通報しているとの報道(6月11日付、朝日新聞)も出ている。これでは、職員の主観や裁量、あるいは外国人への偏見によって通報されてしまう恐れが十分あり、非常に危惧しているところだ。また、永住資格の最終的な取り消し判断が、法務大臣の職権に委ねられている点も恐ろしい部分だ。
本来、法改正には明確な根拠となる「立法事実」が必要なのだが、政府は「外国人の税金滞納率が日本人に比べて高い」と言うだけで、その具体的根拠を提示していない。過去に7自治体への聞き取り結果が報道されたことがあったが、その自治体名や滞納比率の詳細は一切明かされていない。根拠が不透明なまま法改正が進んでいることは、大問題だ。これについて、法務大臣は具体的にどのような違反で資格を取り消すかというガイドラインを改定した入管法の施行までに作成すると明言している。改定法が施行されるのは来年4月からの見通しだ。