
日本オペラ団の名門、東京二期会9月公演『運命の力』で、ヒロインのレオノーラを演じる(ダブルキャスト)。日本では上演の機会が少ないヴェルディ屈指の傑作だ。 「歌唱力、テクニック、表現力と全てが問われる難役で、特に第4幕では大アリアが控えているので、役の内面を理解し、稽古に励み、万全の状態で臨みたい」
ソウル出身。小学校3年生からバレエを習い、バレエダンサーを目指していたが、中学2年生の時に指導の先生から「体型がバレエ向きでないから他を目指しなさい」と助言され、悩んだ末に、歌の世界を選んだ。
「幼い時から教会の聖歌隊に所属し、ソロで歌うことも多かった。姉が歌を習っていたので、その影響もあった。バレエの次に進む道はこれしかないと思った」
声楽家を数多く輩出している秋渓芸術大学校を卒業後、イタリアのジュゼッペ・ニコリーニ音楽院で学ぶ。
「2歳上の姉もオペラ歌手を目指し先に留学していたので、二人で助け合いながらレッスンに励んだ」ピーア・テバルディーニコンクール第1位等、数々の国際コンクールで上位入賞を果たす。ミラノで『ラ・ボエーム』ミミ、ルーマニアで『蝶々夫人』など主演を演じた。『蝶々夫人』は、ザルツブルク祝祭大劇場をはじめ、ドイツ、フランス、スイス、デンマークでも演じ、大きな評判を得る。14~16年母校の秋渓芸術大学校に勤務、17年にイタリア留学中に知り合った同じ声楽家の日本人男性と結婚し、結婚生活と歌手活動の拠点を日本に移した。
「子どもの時から日本文化に興味があり、日本語や日本の着物、それに日本料理も好きだった。実際に日本で暮らし始めると大変な事も多かったが、それはどこの国でも同じだと思う。声楽家同士なのでアドバイスし合えるのがうれしい」
「韓日関係はこの10年間、良い時も悪い時もあったが、隣国の友人同士として乗り越えていけると確信している」
「オペラは全員の力でつくる総合芸術で、今回も一流の出演陣で構成されている。韓国人の歌手として、こんな大舞台に立てるのは大きな喜びだ。在日同胞そして日本のオペラファンの皆さんに鑑賞してもらえたらうれしい。ぜひ会場に来てほしい」
*『運命の力』は9月3~6日、東京・初台の新国立劇場オペラパレス(イ・スンジェさんは4と6日出演)。料金S席2万5000円ほか。電話03・3796・1831。https://nikikai.jp/ticket/