
反ヘイト本の体験記
著者は、馴染みの書店に差別を扇動する「ヘイト本」が目立つように陳列されていることに大きな違和感と危機感を覚える。「差別をなくしたい」と、書店員へのお願いから始まり、オンライン署名開始、署名の提出とシンポジウム開催へと歩む。その過程で多くの人々と知り合い、助言を得る。
同書は差別のない社会へ向けて、一歩を踏み出した、本好き教師の体験記であり、さまざまな人の知恵がつまったインタビュー集でもある。
「読書という営みは、これから生まれてくる人々に『生きるための言葉』を継承していく営みでもある。書店とは、この最も豊かな遺産の継承に欠かせない場の一つ」と著者は強調する。ヘイト本をめぐる活動のみならず、読書の喜びと書店の価値についても改めて考えさせてくれる。
著者は1985年東京生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。現在は小学校で教員を務める。(キボウ書房、仲川啓介著、四六判、336㌻、税込1980円)