掲載日 : [19-05-11] 照会数 : 11805
司法書士の趙慶済さんが執筆した「渾身の1冊」『「在日」の相続法』
在日同胞司法書士・趙慶済さんが出版
日本と南北の私法検討 膨大な資料 3年がかりの労作
在日同胞の家族法の解明を課題としてきた司法書士である趙慶済さんが、膨大な資料を渉猟し約3年間にわたって書き上げた「在日」の相続法に関する渾身の一冊、「『在日』の相続法 その理論と実務」がこのほど、日本加除出版から発刊された。
同書は6章に分けて①「在日」を国籍・在留資格の側面から照射して捉えて検討②「在日」の相続を考える際に必須となる日本の国際私法(「法適用通則法」など)の議論を韓国の国際私法と北韓の国際私法(「対外民事関係法」)の議論を加えて検討③「在日」の家族法に適用される可能性がある韓国の家族法(「民法」親族編・相続編など)と北韓の家族法(「家族法」など)を整理し、これまでの日本の適用判例も整理した。
また、④「在日」の身分変動を記録した情報が日本のどこにどのように残されているのか、日本で行われた身分行為を韓国に届け出ていれば、韓国の身分登録簿にどのように記録・保管されているのかを整理⑤1~4の検討・整理を前提に「在日」の相続に必要な相続証明書とは何かを整序し、実務上の対応を解説している。
特に第2章「韓国家族法の概要とその適用」では韓国相続法・韓国親族法の諸点を韓国の判例と先例(139例)を整理し、これらを適用・検討した、日本の判例・先例を紹介している。
第3章では北韓親族法の諸点とこれまでの日本の判例を紹介。
読みやすさに配慮し、随所に、統計、法令の一覧表、記載例(身分登録簿関連)、37のコラムを掲載している。
また解放前までの日本と朝鮮の民事関連法、解放以降から現在までの日本、韓国、北韓の家族法関連の動きをまとめた年表や統計など、「在日」の相続法の理解に欠かせない資料を巻末に満載している。
同志社大学法学部の林貴美教授は「在日の相続問題の適切な処理には、関係諸国の国籍法や国際私法、家族法の知識が必須。また、実務的には、相続証明書として何が必要であるかの知識も求められる。本書は、国際私法の研究者であり、豊富な経験をもつ実務家でもある著者ならではの視点から、理論および実務に関し余すところなくわかりやすく解説された、「在日」相続問題必携のレファレンスブック」と推薦するなど、多くの著名人が高く評価している。
「『在日』の相続法 その理論と実務」、趙慶済/著 A5判、696㌻。8856円(税込)。
(2019.05.10.民団新聞)