掲載日 : [18-06-08] 照会数 : 10303
金勝子さんが初個展 5人の子育て終え夢果たす
[ 個展を開いた在日2世の金勝子さん ]
在日2世の金勝子さん(78)が5月29日、東京・新宿区の趙善玉料理研究院で、初めて油絵の個展を開いた。
出品は人物画を中心にした16点。「あっ立った!」「頭、コツンしたの!」などの可愛らしいタイトルが並ぶ。
モデルは孫やその母、そして自身の子どもの幼い頃の姿などを描いている。
特に孫の絵は、金さんの深い愛情が感じられる優しい表情が印象的だ。
作品は1年に1枚のペースで描き上げる。
金さんは宮城県生まれ。埼玉の熊谷女子高校2年の時に、友だちが油絵で描いた女性の裸婦を見てショックを受けた。
「その時は親も余裕はないから絵具なんて知らなかった」
その後、美術部の教師から美術大学に進学するよう勧められるも、なりたかったのは医者。
だがその夢は父親の「女に学問は必要ないからとにかくお嫁に行きなさい」という言葉で断念。21歳のときに見合い結婚した。
金さんは夫とは別に化粧品の販売をやりながら生活を支えた。
46歳のとき、夫を52歳で亡くした。
「息子4人、娘1人をひとりで育てるときに皆さんが協力してくれたし、仕事が好きだったのかもしれない。そんなに苦にならなかった」と当時を振り返った。
絵を始めたのは60代になってからだ。カルチャーセンターで腕を磨いた。
「最初は民団の婦人会の作品展に出品するために描き始めた」
人物を描くようになったのは「子どもたちが引っ越しなどで、絵は邪魔だから早く処理してほしい」と言われたのがきっかけ。
「モデルがいれば本人が持っていってくれると思った」
個展を開くのが長年の夢だった。集中するとまる1日描くこともある。
「絵を描くことは自分の世界に入り込める貴重な時間だし、それを楽しんでいるわね」と笑顔で話した。