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椎の木 誰のため、怒りを物語歌に…中川五郎さんが関東大震災テーマに
 東京・世田谷区の烏山神社の参道で大きく育った椎の木。世田谷区制50年史には「(90年前の9月2日に)殺された朝鮮の人13人の霊をとむらって地元の人びとが植えた」と記されている。一方、加藤直樹さんは著書『九月、東京の路上で』(ころから刊)で加害者として起訴された自警団員12人が「殺人罪などで起訴された加害者のご苦労をねぎらうため」という地元に暮らす古老の証言を掘り起こした。

 この本を読んで衝撃を受けた日本のフォークソングの始祖の一人、中川五郎さん(68)が「トーキング烏山神社の椎の木ブルース」(17分49秒)を作った。「千歳の村でかばい合う意味での絆があったんでしょうね。身内の団結というが、例え誤ったことでもそれは地元のためにやったことだから正当化してしまう。日本の恐ろしいところ、この国が犯してきた過ちです。これは歌わなければと強く思ったわけです」。

 本が出たのが2014年3月。5月には自らの主観を紛れ込ませた物語風の曲(バラッド)を作っていた。歌詞に次のような一節がある。「犠牲者を弔い被害者に謝るためではなく 加害者をねぎらうために植えられた椎の木 変わらないこの国を 変わらないこの国の人たちをまるで祝福しているかのように」

 中川さんは「僕が歌っているのは94年前のことではなくヘイトスピーチデモが繰り返されているいまの日本のこと。小池都知事も関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式に追悼文を送らないという。事件は過去のことでも、現在と未来のことを歌っているんです」と話している。

 「椎の木ブルース」を収録したCDは1枚1000円。問い合わせはクラック・レコーディングス(info@crac.jp)

(2017.9.13 民団新聞)
 
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