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キムチ作りで地域の活性化を−−「村おこし」の一環としてキムチに取り組む自治体が増えてきた。その指南役として地域の在日韓国人が大きな役割を果たしており、「内なる国際化」推進にも寄与している。
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在日韓国人の後押しも
【岐阜県各務原市】韓流ブームの火付け役となった「冬のソナタ」のロケ地・春川市と03年に姉妹提携を結んだ各務原市は、春川と各務原の名産、松の実と人参を使った「各務原キムチ」を多くの人に知ってもらおうと25、26の両日、市内で「キムチ祭り」を開催した。
民団岐阜県本部(呉俊植団長)のパイプ役で春川市との姉妹提携が実現したのを契機に、都市おこし事業の一環として「キムチ日本一プロジェクト」を立ち上げ、「各務原キムチ」を誕生させた。
祭りでは、婦人会岐阜県本部の趙芳子顧問が各務原キムチ漬けの実演会を行った。試食会で参加者たちから「おいしい!」「漬けたてなのに、味がある」と絶賛の声。キムチ鍋やキムチいなり、キムチたこ焼き、キムチ入り春川巻寿司などを販売した屋台コーナーには行列ができた。また、婦人会のオモニたちがピンクと白のチマ・チョゴリでチャンゴ演奏を披露し、会場から大きな拍手が送られた。
各務原市の森真市長は「このような祭りに、民団の協力は欠かせない」と感謝していた。呉団長も「民団、婦人会と各務原市とが一体になって韓国の代表食品・キムチをアピールできることは、地域の活性化と共生共存につながる」と強調した。
現在、各務原キムチ取り扱い認定店は、各務原市役所周辺を中心に59店舗にのぼる。
【山形県戸沢村】村おこしの一環として早くからキムチを売り出したのが山形県最上地方の戸沢村。「戸澤流キムチ」を開発し、白菜や大根をはじめ豊富な山菜を利用し各種キムチを販売している。「道の駅とざわ」の高麗館にあるオリジナルの特選キムチは限定品で人気だ。
この山麓に囲まれた過疎村を活性化した主役は、韓国から嫁いできた女性たち。キムチの命といわれる唐辛子やエキス類は韓国から輸入し、花嫁さんの指導のもとにキムチ作りが始まった。韓国女性たちは村の「内なる国際化」を進めるうえでも欠かせない存在だ。
【滋賀県】江戸時代に朝鮮通信使の通り道であった近江地方(現在の滋賀県一帯)では、地域をあげてのキムチづくりが高月町から浅井町、びわ町、彦根市、栗東市へと帯状に広がった。
始まりは湖北の高月町。雨森芳洲の出身地で朝鮮通信使ゆかりの町ということからキムチを使った町おこしを模索していた。折しも、滋賀県立大学に発酵学で知られる鄭大聲教授が赴任。町から協力を求められ、試行錯誤を重ねた末、10年前に「高月くんのキムチ」を開発した。
高月町の成功は周囲の自治体にうねりとなって広がった。
キムチ加工食品の生産で近畿農政局から「局長賞」を受賞した栗東市の担当者は、「地元の在日韓国人のアドバイスや支援が大いに役立った」と強調する。
【福島県塙町】福島県南端の東白河郡塙町。落ち込む一方の地域経済を立て直すにはどうすべきか検討した結果、地元産の白菜や大根を活用する以外にないと結論。韓国農協と提携し、「キムチ村」を目指すことにした。
閉鎖された農業試験場とコンニャク工場を、白菜栽培とキムチ工場に活用し、薬味類は韓国から購入する。年内に試食会を開き、早ければ来年にも販売を開始する計画だ。
(2006.11.29 民団新聞)
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