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「ちがいをちからに変える街」を合い言葉に、条例で全国に先駆けて同性カップルを結婚に相当する関係として認めた東京・渋谷区でシンポジウム「シブヤ・ダイバーシティ会議2017」が開かれた。条例をさらに充実させ、ヘイトスピーチや排外主義などにも対応できるものにしていきたいと、推進団体「渋谷・新ダイバーシティ条例推進協議会」(長島結代表)が呼びかけた。区議と区民ら150人で満席となった。
区が性的少数者(LGBT)の権利を保障し、同性カップルにパートナーシップ証明書を発行する条例を制定したのは15年。16年10月には人種、性別、年齢、障害を超えて多様性が尊重される新基本構想「ダイバーシティ条例」を策定した。
冒頭、基調講演を行った長谷部健区長は、「多様な個人が尊重される社会」の実現を訴え、ヘイトスピーチ(憎悪扇動表現)については「表現の自由をかたった人権侵害」と啓発活動の充実を約束した。ただし、条例の改正には時間がかかるとして「開かれたプロセスで区民の意見を集める」と答えた。
続いてのシンポジウムでは、渋谷区でもヘイトデモ・街宣が起きていることからダイバーシティ条例のさらなる充実を求める声が各パネリストから相次いだ。
師岡康子弁護士は「人種差別撤廃条約における条約上の義務は国だけでなく、地方公共団体も負う」と述べ、実効性のある施策のために条例を作ることが求められていると強調。いますぐにできることとして、ヘイトデモ・街宣の主宰者には公共施設を貸さないよう求めた。政治学者で高千穂大学教授の五野井郁夫さんは、住みやすい渋谷をつくるため、陳情と請願で区民の声を直接、区政に届けることは重要と呼びかけた。
会場で傍聴していた河貴明さん(婦人会東京本部会長)は「国の対策法ができたが、罰則もなく、まだまだ不十分。ヘイトスピーチを許さない実効性のある条例をつくってほしい」と会場の議員に向かって切々と訴えた。
渋谷・新ダイバーシティ推進協議会は16年12月に発足。長島代表が長谷部区長と面会し、シンポジウムへの出席と条例化への理解を訴えてきた。目標は東京オリンピック・パラリンピックの開かれる20年。長島代表は「渋谷は自分が生まれ育った街。絶対あきらめない」と意欲を燃やしている。
(2017.3.8 民団新聞) |
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