地方本部 HP 記事検索
特集 | 社会・地域 | 同胞生活 | 本国関係 | スポーツ | 韓国エンタメ | 文化・芸能 | 生活相談Q&A | 本部・支部
Home > ニュース > 本部・支部ニュース
民団組織の「未来創造」元年…第71回定期中央委採択「17年度基調」(要旨)
新年度活動方針案や予算案を拍手で採択した中央委員会
■□
はじめに
「同胞経済」活性化図る…価値観多様化に柔軟対応


 北韓の暴走が止まらない。昨年9月に5回目の核実験を強行したのをはじめ、日本の排他的経済水域に向けた弾道ミサイル発射や、潜水艦発射弾道ミサイル実験など、一連の軍事挑発は韓半島のみならず世界の平和と安定を脅かす許し難いものだ。北韓は昨年1年間だけで核実験を2回、弾道ミサイルを24発発射し、技術も高度化させてきていると言われる。

 これ以上の北韓の暴走に備え韓日両国は昨年11月に軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結し、即日発効させた。両国が連携して安保対策を講じつつあるという事実は、韓半島の安定にとって非常に心強いものだ。

 私たち在日同胞は、今後もわが国に対して脅威を与えようとする北韓の動きを警戒するとともに、北韓の指示のもと本団に対し有形無形の揺さぶりをかける朝総連及び従北勢力の悪らつな行動を粉砕しなければならない。

 一方、韓国では政局が流動的となっている。朴槿恵大統領に対する弾劾裁判が進められており、大統領選挙の実施時期が不透明となった。この事態に私たち在日同胞も胸を痛めてきたが、法治国家として法に則り粛々と収拾策が講じられるものと確信している。

 大統領選挙は早ければ上半期にも実施される可能性がある。本団は創団以来70年の歴史の中で一貫して本国の政治に関与することを避けてきたし、今後もこの姿勢は変わらないものと確信している。本団は不偏不党の立場を堅持し、国民から選ばれた政権とともに祖国の平和統一、経済・社会の発展、在日同胞社会の発展に尽くしていくことを使命と考えている。

 かと言って韓国の政治に無関心でいるということではない。日本に生活基盤を置いているとはいえ、われわれの生活が韓国政府の政策によって大きな影響を受ける以上、逆に関心をより高めるべきだと考えている。韓国国民の基本的人権のひとつである国政への選挙権を有効に生かし、在日同胞として本国の発展に参与する道としては大統領選挙は絶好の機会となるであろう。現在は選挙人登録も常時可能になっており、一人でも多くの同胞が選挙に参与することを願うものである。

 昨年末、駐釜山日本総領事館前に慰安婦の少女像が設置されたことで韓日関係はまたも冷却化し始めた。繰り返し言うが、韓日両国の関係悪化によってもっとも深刻な影響を受けるのは在日同胞である。中央本部団長の2017年新年会での発言が内外に反響を巻き起こしたが、私たちは在日同胞の心情を代弁した発言であったと確信している。

 被害者ハルモニたちの名誉と尊厳が回復されることが最重要なのは当然のことだが、合意時の生存者のうち7割のハルモニが既に支援金の受け取りを表明していることも事実だ。当事者である元慰安婦の多数が支援金を受け容れている事実を冷静に見極め、今後の両国関係の発展を期することが今もっとも望まれているのではなかろうか。本団はこの問題に関心を持つすべての国民、関係者に訴えていきたい。

 わが国はこれまでも幾多の試練を乗り越えてきた。今回の困難も必ずや克服し、再出発の契機にすることであろう。常に本国と歩みをともにしてきたと自負する本団は、今後も決して揺らぐことなく、粛々と在日同胞社会と本国の発展に尽くしていく。

 在日同胞社会の人口動態が大きく変化している。特別永住者が減少傾向にある一方で、日本国籍や韓日の重国籍を持つ同胞子弟が増加している。新定住者や帰化同胞も含めた在日同胞社会の大統合を推進し、求心体としての民団組織の再生を図らなければならない。価値観が多様化している在日同胞社会のニーズに合わせた民団づくりが焦眉の課題だ。

 創団70周年未来創造メッセージの提言を受け、多様な属性と価値観を有するすべての在日同胞を網羅できるよう、地方本部レベルにおいては構成原理を韓国籍のみにこだわることなく、民族的出自を基本としたより開放的なものに変えていく検討が必要だ。

 創団から70年を経て本団を取り巻く環境は大きく変化しており、地方組織の疲弊が思いのほか進んでいることを昨年の未来創造フォーラムによって改めて確認した。特に支部組織の弱体化は深刻の度を増しており、早急な対策が望まれる。財政面での対策のひとつとして、中央本部が昨年から進めている電力小売自由化による関連事業に積極的に取り組むことで同胞業者の電気料金削減と支部組織の収入増加にぜひ繋げていきたい。

 併せて、組織の最前線で奮闘している支団長の参加を広く求め、この間、実施してきた支部巡回活動の成果を土台とした支部組織の活性化、地方本部三機関長に就任する際の国籍要件の緩和策、規約改正に関する意見聴取のほか、財政自立のため本部や支部が保有する資産の有効活用などについて忌憚のない議論の場を持つことにする。

 会議の効率性を考え地協会議の場を活用していきたい。

 昨年5月に統合総会を開催し、数年ぶりに落ち着きを取り戻した韓商連の活動に対する期待は大きい。未来創造メッセージとその提言に示された「同胞経済の活性化」を推進する主体となり、具体的な行動によって同胞らの経済活動を支援していくという本来の役割を果たしてもらいたい。

 他にも私たちの目前には大きな課題が横たわっている。

 2018平昌冬季五輪が近づいてきた。韓国は政局の混乱を一日も早く収拾させ、国家の威信をかけて必ず成功させなければならない。そのためには国民の一致団結が不可欠であり、昨年立ち上げた「在日韓国人後援会」を中心に参観団を派遣するなど、私たち在日同胞も積極的に協力していこうではないか。

 創団70周年記念事業により本団は大きな成果を挙げる一方で、今後成し遂げるべき課題も確認した。今年度はその課題を克服しあるべき未来像の実現に向けた第一歩を踏み出す重要な1年としたい。

■□
重点方針
ヘイトS対策法を禁止法に…「民族教育」きめ細かく


 今年は創団70周年記念事業で打ち出した未来創造メッセージの具体化を求めた提言の実践がなによりも大きな課題となる。今後の同胞社会と本団組織の在り方にも決定的に関わる事柄であることを深く認識して取り組んでいきたい。

 在日同胞の民族主体性を確立する一環として本団が最重要課題として取り組んでいる次世代育成事業においては、毎年実施している中・高・大学生の母国訪問事業を引き続き実施しつつ、地方本部はその特性に合わせ若い世代を対象とした独自事業を実施する。併せて昨年、在外同胞財団と共同で主催した専門家による在日同胞社会の民族教育実態調査の結果を踏まえ、今年はこれの具体化事業に着手する。

 この間、継続事業として取り組んできた朝鮮通信使の世界文化遺産登録を求める運動も、いよいよ佳境を迎える。早ければ7月にも審査が始まる予定となっており、関係団体とも緊密に連絡を取り合いながら、最後の追い込みをかける必要がある。

 釜山での少女像設置以後、またしてもヘイトスピーチが息を吹き返してきたようだ。今年は東京都議会をはじめ各地の自治体で選挙が予定されているが、選挙運動に名を借りたヘイトスピーチを決して行わせてはならない。昨年施行された理念法としての「対策法」を、より効力のある「禁止法」に変えるべく、引き続き日本政府・国会に働きかけるとともに、地方自治体での条例制定を求める活動を地道に進めていく。

■□
未来創造メッセージ提言の実践化

 提言は7項目にわたっているが、早急に手がけるべき事項から優先的に取り組んでいく。財政自立への努力は中期的目標とし、本国における在日同胞に対する制度適用除外についてはその是正のための取り組みをすでに始めていることを付け加えておく。

役員就任要件の緩和

 まずは、特に過疎地方本部からの要請が強い地方本部三機関長就任に際する要件の緩和(日本国籍同胞の登用)について議論を進めていく。組織運営上の現実的な要請として緩和を求める声がある一方、将来的な組織の方向性を巡る根本的な論議抜きでの要件緩和に慎重な意見もある。地協会議などを活用しつつ幅広く議論を行い意見収斂を図っていきたい。

同胞大統合

 韓人会との統合については、未来創造フォーラムに韓人会から東京、神奈川の関係者、民団からは韓人会の存在する地方本部関係者を招いて議論を行ったところ、統合に向けた方向性に異論はなく、協議の場を設けていくことで意見が一致している。早急に協議の場を設け、具体的な意見交換を進めていきたい。

民団財産の保全

 数多くの地方本部、支部で今なお民団財産(主に不動産)が個人名義のまま放置されている実態がある。名義人の死亡などにより名義変更が容易に進まないという話も絶えない。今年はその実態を詳細に調査するとともに、財産が個人名義であっても本來は「民団の総有財産である」ことを地方委員会や支部総・大会で確認を得る措置を取るよう指導していく。

経済活動の支援

 統合された韓商連とも連携しつつ、提言にある経済活動を支援する具体策を立てていきたい。まず手始めに経済セミナーを実施し、特に若手商工人の発掘・育成に繋げていきたい。

組織強化

 組織強化のための幹部と実務者に対する実践学習体系を築き上げていく。過疎地方本部の強化を図る「統括局長」の派遣については、実現に向けて財政的、人的な検討を進めていく。

■□
民族主体性確立

韓国語講座の拡充

 全国の地方本部が実施している韓国語講座(ウリマル・ハングル教室)の実態を調査すると同時に、韓国語学習教材の開拓と本団幹部が率先して受講するなど受講生の拡充を期する。韓国語講座に通うことのできない受講希望者の助けとなるよう通信講座サイトの案内を行う。

次世代育成事業

 毎年実施している次世代サマースクールは全国規模で継続し、今年は特に学生会が主体となり大学生ジャンボリーを開催する。地方本部または各地協の特性を生かし小学生、中学生ら年代別の次世代対象事業の実施を勧獎する。

■□
韓日友好・共生促進

朝鮮通信使の世界遺産登録

 今年は韓日友好親善のシンボルである朝鮮通信使のユネスコ世界記憶遺産登録が濃厚だ。両国の民間団体が初めて共同申請した事業が私たちの念願通り実を結べば、韓日友好関係の進展に大きく寄与することは間違いない。日本全国で草の根の韓日親善活動に携わっている日韓親善協会と連携しながら、本団は今後とも韓日両国の協力・発展を促進する懸け橋としての役割を果たしていく。

ヘイトスピーチの根絶

 今年はヘイトスピーチの温床と言われるインターネット上の人権侵害から同胞を守る人権救済申し立て行動をはじめ、地方条例の制定や「対策法」がヘイト根絶の決定打になるよう法改正を含めた闘いを進めていく。

地方参政権獲得運動

 昨年、日本では選挙権年齢が18歳に引き下げられたことで一般国民の選挙権への関心が高まったが、永住外国人住民に対する言及がほとんどなかったことが残念でならない。

 地域社会住民としての当然の権利である地方参政権の獲得に向け本格的に取り組んで既に23年になろうとする今日、保守主義的な流れを強くする日本社会にあって、現状は決して楽観できるものでないことを承知しているが、私たちが永住外国人として地域社会に貢献・参与していくためにはなんとしても地方参政権は必要であることを訴え続けていく。

(2017.2.22 民団新聞)
 
最も多く読まれているニュース
差別禁止条例制定をめざす…在日...
 在日韓国人法曹フォーラム(李宇海会長)は7日、都内のホテルで第6回定時会員総会を開いた。会員21人の出席で成立。17年度の報告があ...
偏見と蔑視に抗って…高麗博物館...
 韓日交流史をテーマとする高麗博物館(東京・新宿区大久保)で企画展「在日韓国・朝鮮人の戦後」が始まった。厳しい偏見と蔑視に負けず、今...
韓商連統合2年、安定軌道に…新...
金光一氏は名誉会長に 一般社団法人在日韓国商工会議所(金光一会長)の第56期定期総会が13日、都内で開かれた。定数156人全員(委任...
その他の本部・支部ニュース
法曹フォーラムが広島でセミ...
 在日韓国人法曹フォーラム(李宇海会長)は12日、民団広島県本部で第7回公開セミナー「法律・人権セミナーIN広島」を開催し、広島...
生活相談センター…地方の拡...
金所長ら岡山、広島を巡回家族関係登録​診断キャンペーン 趣旨説明を開始 みんだん生活相談センターの金昭夫所長は11日...
大阪韓商事務所が民団本部に...
 【大阪】大阪韓国商工会議所(洪致原会長)は同事務所を大阪市中央区東心斎橋から北区の大阪韓国人会館敷地内に移転。4月28日、内覧...

MINDAN All Rights Reserved.