| 文 ペ・ヨンヒ
絵 チョン・ユジョン
訳 かみや にじ
出版社 福音館書店 | | かんこくのりまき キムパプ(クリゴカフェ提供) |
食欲の秋です。おいしい韓国料理をつくってみてはいかがでしょう! 「韓国料理をつくってみたいわ。でも、どうやってつくればいいのか、よくわからないのよ。それに韓国料理の本は、どれもみな本格的すぎて、わたしにはむずかしすぎるわ」 と、思ったみなさんに、ぜひ、おすすめしたい本があります。それが今回紹介する絵本『おいしいよ! はじめて つくる かんこくりょうり』です。 原題を直訳すると「わらびの手 料理本」となります。「わらびの手」というのは、韓国で子どもの手のことを表すときに好んで使われる表現なのです。つまり、子どもでもつくることのできる料理本ということ。ですからむずかしい料理はありません。しかも、たのしいイラストがふんだんに使われていて、とてもわかりやすいのです。 ではひとつだけ、最初の「おすを いれない かんこくのりまき」のページを紹介してみましょう。 料理のタイトルの上にはふたつの時計が描かれています。左の時計の針は「11時20分」を。そして右の時計は「12時ピッタリ」を指しています。お昼に食べるといい料理であり、つくるのにだいだい40分くらいかかるということがひと目でわかるのです。 料理のタイトルの下に目をやると、 こめ 1カップ やきのり 3まい きゅうり 1ぽん……。というように、材料がすべてイラストで描かれています。その右側には、 1 こめを といで ふっくらと ごはんを たきます。 2 のりは はんぶんに きります。 3……というように、具体的なつくり方が、これまたイラスト入りで簡潔に説明されているのです。 「かんこくのりまき」ページの最後には、「おとなのかたへ」という説明があり、こんな内容が書かれています。 「韓国ののりまきは、ごはんにお酢を入れません。韓国ではキムパプと呼ばれています。キムはのり、パプはごはんのことです。……日本ののりまきより、薄く(1・5センチくらい)切るのがポイントです」 どうですか? これなら簡単に韓国料理がつくれるでしょ! ほかにどんな料理が紹介されているのかというと、「やさい たっぷり はるさめチャプチェ」、「ふわっ ふわっ ちゃわんむし」、「さっぱり さわやか オミジャ茶」、「もっち もっち じゃがいものチヂミ」など30種です。 絵本をめくっていくと、知っている料理には懐かしさを、知らない料理には新しさを感じます。どちらも、つくってみたくなるから不思議ですね。 ところでこの絵本は、とっても「贅沢な絵本」なのですよ。総合演出は、『うさぎのおるすばん』(第9回で紹介)でニューヨークタイムズ「年間優秀絵本」に輝いたイ・ホベク。デザインは、『マンヒのいえ』や『しろいは うさぎ』(第12、13回で紹介)といった作品で、今や韓国を代表する絵本作家となったクォン・ユンドクが担当しているからです。 韓国での発売から20年を迎えた今も、多くの支持を得ているロングセラー絵本です。 キム・ファン(絵本作家) (2015.10.28 民団新聞) |