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ヘイトS事前規制を…川崎市人権施策推進協議会が福田市長に提言
 【神奈川】福田紀彦川崎市長から要請を受けてヘイトスピーチ(差別扇動行為)対策について優先的に審議してきた川崎市人権施策推進協議会(会長=阿部浩己神奈川大法科大学院教授)は昨年12月27日、提言をまとめた。柱は公共施設の利用に関するガイドラインの策定、インターネット上の対策、差別に幅広く対処する条例の検討の3点。福田市長は今年11月までの任期中に一定の方向性をとりまとめる考えを示した。実現すればヘイトスピーチを事前に抑止する初の施策になる。

 ガイドラインは、ヘイト団体による公共施設の利用を制限するため、許可を原則としつつ規制対象となる行為を必要最小限の範囲内で明確にするのが目的。策定・運用にあたっては恣意的な判断を避け、集会の自由を守るため、第三者機関の設置を求めている。

事前予防を歓迎

 在日韓国人法曹フォーラムの殷勇基弁護士は、「これまでも被害発生前に裁判所がヘイトデモを制限する命令を出すことはあった。ただ、ガイドラインが策定されれば、ヘイトスピーチによる被害発生前の取り扱いをルール化することになり画期的」と話している。民団中央本部人権擁護委員会の薛幸夫副委員長も「傷を負ってからの事後ではなく、あらゆる病に求められる事前の予防こそ大事」と歓迎している。

デマ情報是正へ

 インターネット上のヘイトスピーチに対しては市にも削除要請を求め、客観的な事実に基づき市が誤っている情報を正していく情報の発信も求めた。市人権施策推進協議会の部会に招かれて意見を述べた師岡康子弁護士は「市がデマを是正する情報を発信すべきとの提言は重要だ。『ヘイトスピーチをやめましょう』というスローガンに止まらず、『在日特権』などの差別的なデマを公的機関が批判する啓発・教育活動は差別の根絶に大きな役割を果たすだろう」とみている。

 また、提言がヘイトスピーチ対策を含めた人種差別撤廃などの包括的な条例制定の必要性を明記し、制定に必要な作業に着手すべきとした意義も大きいと次のように語った。「ヘイトスピーチは差別の一形態であり、差別を根絶するためには就職差別、入居差別などを含めた差別全体に取り組む必要がある。それが人種差別撤廃条約の求めている中心的課題である。条例の問題を先送りせず、ガイドライン作りなどと同時並行で、条例制定作業に入ることを提言した姿勢は高く評価されるべきである。川崎をモデルとして、ほかの地方公共団体も、また国も、包括的な人種差別撤廃に向けた法的整備を行うことを望みたい」

条例制定を期待

 人権擁護委の薛副委員長は条例化にあたって、「対策法」に欠けた「違法」「禁止」などの言葉も求めている。「せっかくの条例にその有効性が求められる」からだ。

 ただし、今回の提言はガイドラインの策定に主眼を置いたものであるだけに、「条例のほうはまだ道が遠い」とも見られている。「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」(関田寛雄代表)で事務局を担う山田貴夫さん(大学講師)は2017年度中の条例化に希望を託し、「川崎市は自治体の外国人住民施策推進のリーダー的な役割を果たしてきたことを想起し、さらに前進させてほしい」と話している。

公共施設の利用制限も
人権擁護局「対策法」指針


 法務省人権擁護局は自治体の求めに応じ、昨年末までに「ヘイトスピーチ対策法」の具体的な解釈指針となる文書を作成。全国の地方法務局を通じ、各自治体に「参考情報」として配布している。

 自治体が判断に悩んでいるのが、ヘイトデモなどを行うために公園など公共施設の使用許可を申請された場合、不許可にできるのかどうかということ。自治体は地方自治法244条に定める公の施設の管理者として「正当な理由」がない限りその利用を拒んではならない(同条2項)とされているからだ。

 これについて人権擁護局がヘイトスピーチ専門部会で検討した結果、運用目的が当該施設の設置目的からみて不相当とする正当な理由があれば不許可にできるとした。

 人権擁護局では「公共施設の供用にあたってその供用の範囲、運営方針などをどのように定めるかについてはそれが合理性を有するものである限り、施設の管理者の側に相当程度の自由な決定権が認められている。自治体自ら適切に判断してくれということだ」と話している。

(2017.1.18 民団新聞)
 
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