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いまは懐かしき60年代清渓川…フォトジャーナリスト桑原史成さん撮影
『図録』掲載の写真
貧しくとも人間の息吹
ソウル市が永久保存へ


 ソウル市城東区の清渓川博物館で清渓川をテーマとした写真展が開催されている。著名な日本人フォトジャーナリスト、桑原史成さん(80、東京都江東区)が60年代に撮影した。

 清渓川は2005年に復元されていまでこそ市民の憩いの場となっているが、当時は下水溝といってもいいほどの汚れよう。住民の生活も貧しかった。しかし、その表情は不思議に明るい。いまとなっては当時を偲ぶ貴重な記録となっている。7月30日まで。

 展示されている写真は35点。桑原さんが65年と68年に清渓川を撮影した約1000点のなかから選ばれた。

 桑原さんが笑いながら振り返った。「当時、韓国の友人からはあんな貧しいところ(恥ずかしいから)撮るなといわれた。いまとなっては桑原さん、写真撮っておいてくれてありがとうと喜んでくれている」

 桑原さんが清渓川にカメラを向けたのは、知り合いのAP通信記者から「韓国戦争のとき、北からの避難民が川岸に住み着いた」と聞いたため。「それは面白い」とはじめのうち「ちょこちょこ撮っていた」。やがて、生活感を感じさせる住民の明るい表情にひきこまれて「しつこく撮るようになった」。

 桑原さんは「下水道設備がないから川は汚いし、臭いもする。でも、住民はなんとかして一生懸命生きている。貧しいとは思いませんでした。人間の息吹を感じた」と話す。

 桑原さんが狙うのはもっぱら「人間が入りこんだ生活を感じる風景」だ。今にも朽ち果てそうなバラック小屋を通して住民のいきいきとした表情を的確に引き出している。ソウル市は桑原さんの撮影した作品のなかから清渓川35点を含む75点を永久保存している。

 桑原さんは東京農大時代に出会った留学生を通して韓国に興味を持つ。写真家を志し、自分だけのテーマを追い求めていた桑原さんは64年に韓国入り。韓日国交回復に反対する大学生のデモやDMZ(非武装地帯)、ベトナム戦争に派遣される韓国軍などを取材してきた。

 韓国での取材は半世紀を超えた。桑原さんは「報道写真家としていままでに約100万回はシャッターボタンを押しただろうか。韓国は水俣病と並ぶ私のライフワーク。体力勝負となるが、あと3〜5年は追いかけ続けたい」と意気軒昂なところをみせている。

 14年に土門拳賞受賞。現在、日本写真家協会理事。

(2017.6.14 民団新聞)
 
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