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小田川興(前朝日新聞編集委員)
歴史克服への長い道のり
 小泉首相の訪朝による日朝首脳会談は東アジアの平和構築に一定の枠組みを生みだした。だが、和解の大前提となる拉致問題では無惨な結末が示された。拉致家族者の心中を思うと言葉を失う。日本政府は問題解決のために毅然とした対応をとることでしか、和平の細道は開けない。

 日朝は今回、帝国主義列強時代」の遺産(植民地被害者)と、20世紀後半の「冷戦」の残滓(拉致)を同時に精算し、未来を開こうという構想で「平壌宣言」を出した。だが、両国の民衆がともに過去を乗りこえ、真の友好の礎石を築く条件には足りない。

 拉致問題はむろんだが、他方、植民地下に徴兵や徴用、あるいは慰安婦として連行された人たち、また原爆被害者への償いが「経済協力」というあいまいな形で決着したことは、今後に問題を残した。同じ方式で妥結した日韓の間ではいまもトゲでありつづけるからだ。国家関係のひずみを正すには、互いの等身大の歴史を学びあうことが最良の出発点だ。

 敗戦直後の超ベストセラー作家、藤原ていさんは日本降伏後に満州・新京(現長春)から子ども3人を抱えて38度線にたどり着いた時、朝鮮兵に助けられたと自伝小説に記している。朝鮮兵たちは「しあわせになれよ。もう戦争はしないでおこうね」といったという。

 読みながら、私は30年前に取材した韓国被爆者が差し出してくれた掌のぬくもりを思い出した。

 日朝関係が正されて、やがて北朝鮮の普通の人々とも交流できる日が来ることを願わざるをえない。民衆同士の信頼こそが最大の「安全」保障でもあるのだ。
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