民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
地方参政権、今通常国会で成立を

中央新年会で議員ら熱いメッセージ



◆日本側来賓

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韓日間に残る懸案、今世紀中に処理
野中広務(自民党幹事長代理)

 一昨年の金大統領の訪日、昨年の小渕総理の訪韓をはじめとする韓日首脳らの往来を通して、日韓関係が急速に変わってきているのを肌で感じている。20世紀の最終年度を迎えるにあたって、この一番大切な日韓関係が新しい交わりをさらに進めようとしていることに私どもは喜びを感じている。

 私は戦争中、韓半島から連行された人たちが、近所の軍需工場やマンガン鉱で過酷な労働を強いられている姿を見ている。また、劣悪な生活のなか、迫害を受けているのも見て育ってきた。それだけに、あの植民地時代の支配に対して、何とかしていちばん近くて近い韓半島との信頼関係を回復しない限り、日本が平和を目指していくことはできないというのが、政治の道に入った私の信念であります。

 貴国との関係では新しい歴史を刻みつつあります。しかし、20世紀中に解決しなければならない問題は残っております。たとえば公明党の冬柴幹事長から今年いただいた年賀状には、「在日韓国人の地方参政権について、今年こそ実らす年にしましょう。ぜひ、あなたの力をも貸していただきたい」という熱いメッセージがしたためられていました。

 私は官房長官として小渕総理に仕えていたとき、金大中大統領に訪日していただくことができ、在任中にも今世紀中に残した問題を何とか解決したいという熱い思いを持っておりました。かつて日本の軍人・軍属として働かれた多くの皆さんの問題もそうです。 両手をなくされた方にもお会いしました。軍属として徴用されて、かつての収容所の監視に当たっただけの人も何らの処遇もされていません。裁判では立法府の判断を求めて棄却される結果を耳にしてきました。 この戦後問題、日韓関係では国交樹立とともに解決されたといいますが、多くの傷跡をそのままにして新しい世紀を迎えるのは、日本の新しい時代を構築するにはふさわしくない思っております。

 参政権の問題を含めて、辛団長からは会うたびに強い要望をいただいております。近くて遠い北朝鮮の問題も含めて、お互いが信頼関係を持って21世紀を歩んでいくようにしておきたい。そのためには20世紀中に起きたことは20世紀中に解決しておく―それがこの時代に生きた政治家の責任だと思っています。


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金大統領との約束守り、法案成立図る
藤井裕久(自由党幹事長)

 日本と韓国の関係は、文物の渡来、人の往来と有史以前から長い歴史を踏んでいる。世界でこれほど近しい国はない。

 私ども小沢一郎党首が昨年、韓国を訪問して金大統領にお目にかかったとき、地方参政権問題が大きく取り上げられたことは事実です。党首は大統領に「ご主旨の線で行動いたします」と約束して参りました。

 それが一連の動きにつながっているのは事実であります。冬柴さんからもお話がありましたように、昨年10月の三党合意には永住外国人の方(ほとんどが韓国の方)が地方参政権を行使できるようにと、明確に書いてあります。これはお国に対する約束であると共に日本全体に対する約束であります。

 この法律は次の通常国会冒頭に提出する。そして多くの方々の理解を得て成立を図っていくという、20世紀のうちに片づける代表的な一つにしていきたいと思っております。そのうえに立って、北東アジアの安全、平和ということは、まさに最も親しいお国との関係をしっかりやることによって成り立つ。この基本に立って北東アジア、なかんずく世界の平和のために頑張って参りたい。


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地方議会の決議、国会は誠実に履行を
冬柴鐵三(公明党幹事長)

 20世紀は国家という抽象概念があまりにも前に出過ぎた世紀だったのではないのか。国家、国力、国威、国益、国境、国権、そして国籍―。国という字を並べればきりがないほどあります。これが国益を求めて戦争をやった原因の一つだったのではないだろうかと考えます。

 21世紀はそうであってはならない。もういまや国境、国というハードルが著しく下がりました。そこに住む構成員(国民、あるいは外国籍者を含む住民)一人ひとりが、ゆとりと豊かさを実感できる社会を形作っていくために政治はあるのではないのか。

 私は、日本に生まれ、日本で育ち、日本の国土に骨を埋めていかれようとしている在日の永住外国人の方々が限りなく日本人と同じ扱いを受けるべきであるという確固たる信念を持っております。

 すでに日本の地方議会では三千三百の三分の一が、地方公共団体の長、及び議会の議員の選挙権を与えるべきであるとの決議をして、自治省に送ってきております。それに所属する住民の人数は、日本国国民の七割を超える多数を占めています。そのような地方の意思を無視して、国会がこれを実現しないのは許されないと思っています。

 われわれは自由民主党、自由党と共に昨年10月4日、三党連立協議を成立させました。そのなかで「成立させる」と明記したわけであります。守らなければならないと思います。20日から召集される通常国会では、冒頭から提案されるべきであると信じております。

 私自身、北朝鮮の羅津というところで小学校3年生までおりました。そういう縁もありまして両国の親善というものを心から願うものであります。

 旧く西暦285年、百済から王仁という人がわが国に論語十巻、そして千字文を伝えたという厳然たる歴史があります。同じ漢字文化圏にあって、長い悠久の歴史が両国にはあります。このような歴史を踏まえて、本当に一体となって世界の発展のために貢献していこうではありませんか。


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与党3党の話し合いを見守っていく
越智通雄(国務大臣)

 昨年、この席で三つの約束をした。その一つが地方参政権であり、もう一つが在日韓国人金融機関の整理統合、そして最後が天皇の訪韓問題だった。政府としては与党三党の話し合いの行方を見守り、昨年10月の三党合意がしっかり実現できるよう頑張っていく。


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法案提出なら全面賛成で成立
中野寛成(民主党副代表)

 日韓関係、韓日関係は最良の状況にあるといわれている。地方参政権の問題も今年、解決できる年にしたい。辛団長は今年3月の任期と聞いている。となれば今月20日に召集される通常国会冒頭には成立させなければならないのではないかと思う。

 法案は私(民主党)と冬柴さんですでに国会に提出している。与野党共同で成立させればいい。万が一、民主党が共同提案者から外されるようなことがあっても、真っ先に賛成してまいりたいと思っている。もし、国会冒頭で成立させられないときは、連立を解消していただきたい。そんな気持ちで与党協議を見守っていきたい。この地方参政権法案は、必ずや国会の定数削減法案と一緒に成立できるものと確信し期待したい。

 もし、与党内部でちゅうちょするようであれば、民主党に言って欲しい。我が方から応援に回れば、過半数に達するはずだ。この問題だけは選挙制度という土俵の問題であり、与党、野党という党利・党略にとらわれることなくみんなで力を合わせて成立させなければならない。


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韓日関係前進へ全力を尽くす
三塚 博(日韓親善協会中央会会長)

 なぜ、地方参政権なのかについて韓国側から話があった。約束事は誠実に守りぬいていかなければならない。自由民主党の党員であることは間違いありませんが、国権の最高機関である国会のメンバーであるということで、両国関係の前進を図るということが大変大事なことであります。そういう観点から、大きく前進して解決されることをしかと心に据えながら、全力を尽くしていく決意です。


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W杯成功へ在日と共に努力
岡野俊一郎(日本サッカー協会会長)

 韓日間にまだ国交のなかった1960年、韓国にサッカーの公式試合でソウルを訪問したことがある。

 国交がなかったので、日本の国旗を掲げるのも、国歌を演奏することもまかりならないとされたときだった。ところが、当時の大韓蹴球協会の理事長(国際サッカー連盟副会長)が、「国交はなくてもスポーツにはルールがある」と韓国政府と掛け合ってくれ、韓国政府も折れてくれた。

 私は最初に韓国を訪問したとき、勝負の厳しさとは別に韓国の人の心のすばらしさを体験した。以降、40年間というもの韓日はライバルとして競い合ってきた。

 いま、両国は2002年W杯共催を成功させるために同じ船に乗り、同じ港に向かって一緒に船をこぎだしたところだ。アジアの歴史上、最初の共催を成功させることは、スポーツ、文化の面での新しい日韓関係の幕開けになると思っている。

 日韓共催を成功させるため、在日の皆さんの協力をいただきたい。


◆韓国側来賓

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日本の国際化が問われる
金守漢(韓日親善協会会長)

 今年は新しい1000年の幕開けです。同時に20世紀最後の年でもあります。この意義深い年の初めに際しまして、私どもは、現在、そしてこれからの1000年に思いをはせざるをえません。

 現在の世界は情報といわず、物流といわず、そのネットワークは全世界を網の目のようにおおっています。それだけに一国で起きたことは直ちに他国に伝播します。

 このようなすう勢はこれからの時代、ますます進むことは確実であります。韓国と日本の間柄も、より開かれた、密接なものにならざるをえません。情報、人の流れは飛躍的に増大していくことでしょう。この意味からは、韓日関係の前途は明るい洋々たるものがあります。

 しかし、現在、韓日関係の現実は、必ずしも洋々たる前途を保証するものばかりとは申せません。20世紀のうちに解決しておかなければならないいくつかの問題が、いまだ解決されずに残されているからです。

 その一つに在日韓国人の地方参政権問題があります。これは単に在日韓国人のためばかりではありません。日本自身の問題であり、まさに日本の国際化が問われています。

 問題の早期解決を通じまして、韓日関係の洋々たる前途を切り開かれんことを願ってやみません。


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参政権は韓日で避けられぬ課題
金ボンホ(韓日議員連盟会長代行)

 祖国は2年前、50年ぶりに平和的政権交代を実現しました。しかし、同時にIMFという経済大難に見舞われ、国家不渡りの危機に直面しました。

 当時、外貨保有高がわずか38億ドルでしかなく、金利は20%台に上昇、失業者数は98年末現在で175万人に達しました。しかし、昨年末には外貨保有高が約20倍の七百億ドル、失業者数は90万人に減少、金利も一ケタで安定するに至りました。また、経済成長率もマイナス5・8%だったのが、昨年に9%のプラス成長に転じました。貿易収支も245億ドルの黒字を出しました。

 このような実績の背景には、金大統領を中心とするすべての国民の努力があります。それだけではありません。在日の皆様からも物心両面のご支援がありました。日本の政界指導者からの協力も含めここにあらためて感謝申し上げます。

 さて、20世紀の韓日・日韓関係は、一昨年の金大中大統領の公式日本訪問、日本からも昨年の小渕首相をはじめとする日本政界指導者の相次ぐ訪韓の結果、かつてないほどの友好関係が築きあげられました。韓日パートナーシップに則った未来志向的、よりよい関係に発展することと思います。2002年サッカーW杯共催の成功はもちろんのこと、平成天皇のご訪韓も、韓国国民の圧倒的な歓迎のもと行われるものと確信しています。

 60万同胞の皆様が心より願っている地方参政権問題も、今年の上半期には必ず解決されて、同胞皆様の希望がかなえられるものと期待しています。

 この地方参政権問題は民主主義の基本としてはもとより、人権問題でもあり、韓日、日韓両国の友好増進のためにも当然実現されなければならない問題ではありませんか。ここにご参席の日本政界指導者皆さんの努力さえあれば、必ず解決できるものと確信しています。


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在日社会築いた底力を高く評価
金奉奎(在外同胞財団理事長)

 21世紀を間近に控え、在日同胞の皆さんは新たな出発点に立っておられます。苦難の歴史に翻弄されながらも、立派に同胞社会を築き上げてきた底力を高く評価したい。同時に変わらない祖国愛にも心から感謝したい。

 なお、在日同胞は家庭での民族教育に努力し、「在日」の数を減らさないように努力をしてほしい。

(2000.01.12 民団新聞)



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