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衆院に提出の地方選挙権法案

国会の正常化、同胞も注視



 2000年のスタートとともに、永住外国人への地方選挙権付与問題が実現性を帯びてきた。1月21日、自民党は名を連ねなかったものの与党の自由党と公明党が「地方選挙権法案」を提出したことで、一気にはずみがつくものと予想された。しかし、焦点となっていた定数是正法案をめぐって与野党間で対立、法案審議入りが足踏み状態になっている。韓日間の新たな懸案とも言える法案の行方に目が話せない状況だ。

 与党の自由党と公明党の共同で衆議院に提出された「永住外国人への地方選挙権付与法案」は、対象をいわゆる「朝鮮籍」を除く外国人とした。参政権を「同化につながる」という理由で反対している朝鮮総連の要望にそう形になったといえる。20歳以上で同じ居住地に3カ月以上住んでいることが条件だ。外国人登録をしている居住地の選挙管理委員会に申請し、登録すれば投票に行くことができる。

 与党による初の法案提出だけに、成立は時間の問題とみられていたが、定数是正法案の採決をめぐる与野党間の対立のあおりを受け、国会は宙に浮いている状態だ。

 その上、これまで参政権付与に慎重だった自民党の一部議員からは、韓国政府が発表した在韓永住外国人への選挙権付与について「相互主義といっても韓国で選挙権を認められる日本人は300人程度。格差が大きすぎる」との異論が出ているという。

 このような足踏み状態では、韓国政府のこの間の努力を軽視していると指摘されても反論できないのではないだろうか。

 日本側に放られたボールをどう受け止め、いつ投げ返すか。小渕首相の速やかな決断を在日韓国人だけでなく、韓国国民も注視している。


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*** 法律案の概要 ***

▼付与の対象

 (1)「当分の間、該当する者(外国人登録原票の国籍記載が国名によりされているものに限る)」とし、朝鮮籍を除いた永住外国人。

 (2)年齢は20歳以上で、同区域内3カ月以上の居住者。


▼権利と資格の範囲

 (1)地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の選挙権。

 (2)条例の改廃・制定請求・監査請求・解散及び解職の請求などの直接請求権など。

 (3)投票立会人、開票立会人、選挙立会人、人権擁護委員、民生委員、民生委員推薦会委員および児童委員への就任資格。


▼手続き

 公職選挙法及び地方自治法の定める日本国民と同じ手続き。


▼申請

 選挙権を取得するには、住所地の市町村の選挙管理委員会に申請し、永住外国人名簿の登録を受ける。

 但し、一度登録を受けた者は別の市町村に転居した場合に改めて申請しなくても新住所で選挙権を取得。


▼施行

 名簿の登録は公布日から1年以内、投票と直接請求参加は公布日から1年6カ月以内。

(2000.02.02 民団新聞)



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