民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
小渕首相の政治決断を願う



 「永住外国人への地方選挙権法案がこの通常国会で一刻も早く成立するよう、全力を挙げるものであります」。

 1月31日の衆議院本会議の代表質問で、公明党の神崎武法代表はこのように強く主張しました。これに対し、小渕恵三首相は「公明党と自由党から国会に法案が提出されているが、自民党でも真剣な検討が進められている。議論の行方を見守りたい」と答えています。

 代表質問で神崎代表は、この法案の「早期成立は、これまでの不幸な歴史を改善していく上でも喫緊の課題である」として、「戦後、日本の繁栄のために懸命に働き、日本人とまったく同じように税金を払いながら、基本的人権の骨格である参政権が与えられていない。これは大きな人権問題である」と述べています。

 さらに、「新しい1000年紀のスタートにあたり、わが国を人権先進国とするためにも、また日本の中で、さまざまな差別と迫害の中で生き抜いてこられた方々の願いをかなえるためにも早急に実現されるべき」と強調しています。


■与党による法案提出の意義

 今回の公明・自由両党による法案提出は、与党から出されたことに大きな意義があります。法案提出にあたり、自民党執行部は異論を唱えず、むしろ、「両党による法案提出もやむを得ない」として、容認することで一致しました。

 これを受けて、自民党内でこの問題を検討している選挙制度調査会では今後、検討会議を月4回のペースで開き、党内の意見集約を急ぐ考えを明らかにしています。

 このような自民党の動きに対し、公明党の冬柴鐵三幹事長は、この法案を与党3党で「成立させる」という昨年10月の合意事項を今国会で履行するために、あらたに非公式の合意書を3党幹事長名で取り交わしました。

 今国会に提出された自由・公明両党による法案は、一昨年民主党と新党平和(現公明党)が出した法案とほとんど同じ内容のものです。ただ大きく修正された部分は、「当分間、外国人登録原票の国籍の記載が国名によりされている者に限る」とされています。つまり、当分間、朝鮮籍の者を除いた永住外国人を、付与の対象としていることです。これは、自民党内に、国交のない国の者に与えることに強い反対意見があることに配慮したものといえます。


■小渕首相の政治決断を期待

 この間の本団のたゆみない運動によって、現在、永住外国人への地方選挙権付与について、反対する政党はありません。全政党の中で、自民党だけが「党内に異論があり、意見集約に時間がかかる」としています。

 金大中大統領の訪日以来、韓日両国は「今世紀の問題は今世紀中に解決しよう」との前向きの姿勢で、21世紀の新たなパートーナーシップの確立に向けた共同宣言と行動計画の具体的な実行に取り組んでいます。そのような中、戦後半世紀以上にわたって韓日親善の土台をつくってきたはずの自民党の一部で、在日韓国人の住民としての権利を認めようとしないのは、私たちの間だけでなく、心ある韓日双方の国民の間でも納得のいかない問題となっています。

 今国会は、衆院比例定数削減問題で、解散・総選挙の流れが高まっておりますが、この地方選挙権法案の成立をこれ以上引き延ばすのは自民党にとって得策でありません。小渕首相の政治決断を私たちは心から願っています。

(2000.02.09 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ