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「青春ってくさいっすよ」



 青春かぶれをしている上司と、それに少し近い私との中に突然入ることになってしまった彼は「青春なんてくさいっすよ」という今どきの青年だった。その彼の初出張が昨年の夏季学校だった。

 団体で入国する地方もあれば、たった一人、初めてパスポートを手にし祖国を訪れる学生もいる。中には、参加を申し込んだ後に『地球の歩き方』を買い求め研究を重ねて来る学生もいる。

 班が決まり、時間が過ぎるにつれてグループが出来上がる。進路や国籍についての悩み、帰化したものの本名を残したかったという学生。自分が韓国人でありながら言葉も歴史もわからないことに問題を感じて、母国修学を考え出す学生と、各人各様の思いがほとばしる。

 だが彼らにとって一番重要なのは、自分と同じ立場で、同じ悩み苦しみを持っている友がこんなにいる、ひとりぼっちじゃないんだという現実を知ったことだ。それはきっと、彼らが21世紀を生きていく上で大きな力となっていくだろう。

 別れの日、最後に目にするのは「がんばろうね。また会おうね」と、目を輝かせ熱く抱き合う姿だ。よく見ると彼、彼女の瞳から熱く流れ出るものがある。「今時そんなことあるはずないっすよ」といっていた彼が、金浦空港に向かうバスの中、「本当にあるんですね」と呟いた。

 ガングロ、茶髪があたりまえ、就職できなきゃフリーターでも…。これが今の日本の若者だ。在日の彼らには、国籍、祖国、本名、就職、差別と、思い悩む要素は多い。そんな共通の"試練"があるからこそ9泊10日の間に強く形づくられた仲間意識が熱い思いとなって表れる。

 3月8日。また母国春季学校が始まる。(F)

(2000.02.16 民団新聞)



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