民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
「2・8」と「3・1」を思う



 在日同胞の民族運動の原点であり、精神的支柱である2・8独立宣言の81周年記念式が、さる2月8日、在日韓国YMCA会館で開かれました。また、来る3月1日には、民族の自主・独立のために身を挺して決起した先達らの崇高なる精神を讃え、その継承と今日的課題を共に考える場として、3・1独立運動記念式が全国の地方本部で開催されます。今年は、20世紀最後の年であり、来る新世紀が希望と繁栄の時代となるよう、2・8と3・1独立運動の今日の意義を考えてみます。


■在日の民族運動に脈うつ精神

 2・8独立宣言は、日本に留学していた韓国人学生が1919年2月8日、日本の苛酷な植民地支配下にあった祖国の窮状を打開すべく、日本帝国の心臓部である首都、東京で決起し、民族の自主・独立を宣言したものです。彼らは、当時としては先進的な「民族自決の原則」と「正義と自由を基礎とした民主主義の先進国の範にしたがい、新国家を建設する」という民主国家をめざす理想像を提示しました。

 犠牲を顧みない彼らの先駆的な行動は、祖国の志士を揺り動かし一カ月もたたない、3月1日に全土で一斉に独立運動として遼源の火の如く燃えあがったのです。3・1独立運動は、韓半島の人口の一割に達する二百余万人が参加したと言います。

 2・8と3・1独立運動が示した崇高な精神は、解放前と解放後の在日同胞の民族運動に受け継がれて来ました。それは、解放の歓びもつかの間、東西対立の狭間で祖国分断というあらたな悲劇にも屈せず、自由と民主体制の祖国建設をめざし在日同胞の求心体としての民団を創立した事に集約されます。

 民団の活動の一環として、北韓の侵略によって引き起こされた韓国動乱の時、救国戦線に参戦した在日学徒義勇軍、さらに88ソウルオリンピック後援事業や最近の外貨送金運動のように祖国の経済建設に参与した諸事業等が指摘できるでしょう。


■21世紀の課題をみつめて

 次代を見据えた諸事業は韓国の今日の発展の一助となったばかりか、在日同胞の圧倒的多数の支持を得るに至りました。しかし、2・8と3・1独立運動が示している我が祖国と私たち在日同胞の未来像にはまだまだ課題が残されています。

 まず、自由で民主的な方法による民族の平和統一を1日も早く達成しなくてはなりません。韓国の包容政策が効果を発揮するよう在日同胞社会の和合事業の取り組みが望まれます。

 続いては、本団が総力をあげて推進している地方参政権獲得運動です。在日韓国人が地域住民の一人として生きていく共生社会の実現に地方参政権は不可欠の権利です。すでに韓国では永住外国人への地方選挙権の付与をアジアでは最初に決定しました。私たちは今後も日本で未採択の地方自治体へのアプローチを続けていく必要があります。

 三つ目は、私たちの子孫の民族的なアイデンティティの確立と後継者の育成に不可欠な民族教育と民族文化の向上に新たな気持ちで取り組まなくてはなりません。最後に、2002年FIFAワールドカップ韓日大会の成功に向けた架け橋的役割です。

 これらの事業は、私たちの民族的良心に基づいた団結と日々の活動の積み重ねによって可能なものばかりであります。21世紀の豊饒な在日同胞社会の建設にむけて2・8と3・1精神を継承し、全団的規模で取り組んでいきましょう。

(2000.02.16 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ