民団新聞 MINDAN
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辛野乃の短期母国修学記<3>

空き部屋をさがしています



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赤い帽子をかぶっています

 さて、日本で上司から紹介された下宿の地図を送ってもらうはずが、手違いで届かず、直接アジュモニに電話することになっていた。

 ほとんど会話らしい会話も出来ないくせに、私は同行してくれた姉に頼らず、自分で電話をかけることにした。

 「%&$#服="+?」 なんとか聞き取れたのは服という単語だけ。ここからは想像力の勝負だ。この場合おそらく目印の服装を聞いているのだろうとふんで、赤い帽子をかぶっていることを伝えた。こんな調子で、はたして上手く会うことが出来るのだろうか?

 地下鉄の新村駅の前にある現代百貨店に1時半と伝えたつもりだが、10分程すぎるともう自分の言った言葉に自信が持てなくなってきた。2時半と言ってたのか?赤じゃなくて黄色とでも言ったのだろうか?

 不安で立ったり座ったりしていると、向こうから一人のアジュモニが、人混みをぬってまっしぐらに私に向かって来る。

私の母よりも少し若いくらいだろうか。そのアジュモニは寒かったでしょう、さぁ早く行こうと私を抱きしめながら歩き始めた。暖かさが心にじんわりと伝わってくる。

 連れて行かれた先は繁華街の中だけれど、ビルの奥に部屋があるのでわりと静か。五畳位の広さで1カ月40万ウォン。即決で韓国生活の拠点が決まった。

 部屋には先住者が残していったベッドにふとん、机、衣装かけ、そしてドライヤーまである。こういうのは運不運があるのであまり期待しない方がいい。

 が、私の場合はかなりラッキーだった。明日引っ越す事を伝えるとアジュモニはどこからかテレビを持ってきてくれたのだから。

(2000.02.16 民団新聞)



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