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広がる「人権教育方針」

大阪、12市町村で策定めざす



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大阪府教委が民団大阪本部に回答

 【大阪】大阪府内で「人権教育基本方針」を策定する市町村が、4月以降急増しそうだ。大阪府教育委員会が9日、民団大阪府本部(洪性仁団長)との協議の席で明らかにした。策定を予定しているのは6市町、このほかの六市町村でも策定に向けた検討を急いでいるという。実現すれば、大阪府内44市町村中、未策定は2自治体を残すのみとなる。

 「人権教育基本方針」は「人権教育のための国連10年」(94年、国連総会で決議)に基づき、教育の各分野で人権問題を総合的・包括的な視点でとらえて人権教育を推進するというもの。課題は在日韓国人をはじめとする「在日外国人」教育、障害児教育、男女平等教育など幅広い。

 大阪府教委は「人権教育推進プラン」とともに99年3月末に策定、大阪市教委でも同年5月に「大阪市人権行政基本方針」を策定した。

 しかし、国際的な人権教育尊重の潮流に反して、府内44市町村中、14市町村では在日外国人教育基本方針・指針はおろか、「人権教育基本方針」すら有していなかった。このため、民団大阪府本部では昨年7月、大阪府教委に提出した「要望書」のなかで「指針・方針の具現化」という1項目を立て、14市町村への働きかけを求めていた。

 大阪府教委は9日の「回答」の中で、2000年度中に外国人教育の基本方針を盛り込んだ「人権教育基本方針」の策定を予定しているのが六市町、策定検討中が六市町村に上ることを明らかにした。残るは2町だけとなった。

 民団側はこれまで一貫して「基本方針・指針」を要求してきただけに「トーンダウン」と反発したが、当面は「人権教育基本方針」の内実化を見守っていくことにしている。

 「本名指導」では、大阪市に続いて2000年度からは寝屋川市と東大阪市でも就学案内に「本名原則」の1項目を入れることになった。府教委は今後、指導要録、修了者名簿台帳、卒業証書台帳などの公簿でも本名記載を徹底するとしている。

 このほか、府費で措置している11人の常勤民族講師についても、人的措置を含む新たな形態を検討することを約束した。これまで府教委では「財政破綻」を理由に民団側の増員要求を一貫してはねつけてきただけに、民団側では「協議に入る可能性は高くなった」と仕切り直しに期待をかけている。

 民団大阪府本部でのこの日の「協議」には府教委から網倉尚武教育次長をはじめとする13人が出席、民団側では李泰雲副団長、金容海民族教育推進委員長らが応対した。

(2000.02.16 民団新聞)



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