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自転車への意識差



 年々増え続ける車と激しい渋滞。しかし、自転車が走っている光景はなかなか見かけなかった。ソウルや釜山を訪れるたび不思議に思うことの一つだ。

 自転車は免許や許可が不要。おまけに排気ガスを出さないから環境にも優しい。ソウル市内のような込み入った都市にはうってつけの乗り物ではないかと思う。自転車の良さがもっと見直されていいはずだ。

 ところが、韓国では配達や荷物運びに使われても、日常の移動手段として使うものではないという意識が普通なのだという。とりわけネクタイ姿のサラリーマンが一生懸命ペダルを踏む姿は貧相だと、違和感を与えるようだ。

 韓国政府も近年、経済危機をきっかっけにマイカーの自粛と自転車の利用を呼びかけているが、思うように浸透していない。対照的に日本では国民1・7人に1台の割合で普及している。水泳と並び、子どもがいちばん習いたがっているのが自転車だという調査結果も出ている。

 韓国国内で自転車の普及が遅れている背景には意識面のギャップがあるように思われる。乗りたくても人生経験を積んだいい大人が練習するには、抵抗感もあるだろう。

 小山恵子さんもそんな一人だった。ある日、自動車教習所職員の「なんだ、自転車にも乗れないのか」の一言に発奮、恐る恐る練習を積み重ねた末、一度も転ばずに乗りこなした。自費出版の小冊子「自転車練習法」には、そんな小山さん自身の創意工夫が満載されている。日本自転車普及協会によれば日本で出版された唯一のマニュアル本だという。

 小山さんは著書を韓国で翻訳出版できたらと夢見ている。実現すれば韓国での自転車普及に役立つだろう。(P)

(2000.02.23 民団新聞)



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