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「日本海」と「トンヘ」
昨年5月、東京から新潟へ転勤した私は、転勤の挨拶状に「日本海側の暮らしは初めてで…」としたためた。上京した折には知人に「日本海のサカナはホントにうまい」などと、話してきた。
私たち日本人が何の疑問ももたずに使うこの「日本海」という呼称を、韓国では「トンヘ(東海)」という。国が違えば、呼称が違うのは当然である。
ただ、新潟県にとって、目の前に広がる海の呼称がいささか頭の痛い問題になりつつある。
新潟県などが1月に開いた「新潟・北東アジア経済会議」で、パネリストとして出席する予定だった韓国の経済界代表3人のうち2人が欠席。新潟県は「主催団体のひとつに『環日本海経済研究所』が加わっていたのが、気に入らなかったのでは」と言う。
そもそもこの経済会議は「環日本海交流国際フォーラム」として1990年に始まった。95年からは韓国側に配慮して会議名を「北東アジア」に変えた。にもかかわらず、主催団体の「環日本海」がなお不満だと言う。先の経済会議で平山征夫新潟県知事は「まことに遺憾だ」と不快感を隠さなかった。
「日本海」は、国際的に認められた呼称だ。領土問題とは性格が違う。日本政府も「両国間の課題ではない」(外務省)という。
韓国側の気持ちもわからないではないが、明確なメッセージを送らずに、国際会議に背を向けることは、日本人の反発をかうことになるだけだ。
新潟は、2002年に予定される日韓共催のワールドカップ・サッカーの会場にもなっている。「日本海」がその大会に影を落とすとすれば、建設的なこととは思えない。
この際、日韓の学者を集めて「日本海・トンヘ国際シンポジウム」でも開いたらどうだろうか。お互いわだかまりを胸に秘めることなく何でも率直に話し合うのが、21世紀の日韓関係ではないか。
ところで、在日の人たちはどう思う?
(2000.02.23 民団新聞)
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