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4月施行の介護保険で民団が要望

同胞には新たな不利益現実化



厚生省などに配慮を要望した民団中央

■厚生省などに配慮求める
 無年金が大半の同胞高齢者には
 団員向けセミナーも開催へ

 民団中央本部(辛容祥団長)は2月17日、公明党の遠藤和良衆議院議員(厚生労働委員長)に国民年金法の抜本改正を求める要望書を提出した。これは、4月1日から施行される介護保険制度の結果、国民年金制度から排除されてきた在日韓国人高齢者が、無年金ゆえに大きな不利益を被ると予測されるため。介護保険制度では、日本厚生省に対しても、無年金の在日韓国人に対する何らかの配慮をとるよう強く求めた。

 介護保険が実施されれば在日同胞64万人のうち、約半数に相当する30万人が介護保険に関わっていくと民団側では試算している。

 内訳は介護保険からサービスの提供を受ける対象となる65歳以上の第1号被保険者は約7万人、保険料の負担対象となる第2号被保険者が約23万人。

 このうち第1号被保険者の保険料については老齢・退職年金からの天引きとなるが、在日同胞高齢者の多くはそもそも老齢基礎年金の受給資格が無いため、天引きそのものが成り立たない。このため、直接、制度の運営主体である東京23区・市町村に払い込まなければならないという新たな不利益が現実化する。まして無年金では、介護保険からサービスを受けようにも、原則かかった費用の一割負担分をどう捻出するかという現実の問題もある。

 そもそも介護保険は年金受給者を前提にした制度。しかし、在日同胞は国民年金制度の発足当初から排除されてきた。

 82年からようやく国籍条項が撤廃されたものの、25年間の支払期間が満たせないとして当時35歳を超えていた者が切り捨てられた。86年の改正時点でも当時60歳を超えていた者は、加入期間が物理的にまったくないことを理由に、老齢福祉年金の受給が一切認められなかった。

 要望書ではこれら無年金定住外国人が介護保険制度の実施にあたって不利益を被らないよう、しかるべき対策と配慮を求めている。同時に、国民年金制度の不備によって老齢福祉年金や傷害福祉年金を受給できないでいる無年金定住外国人に対し、経過措置を含めた「国民年金法」の見直しを改めて要請した。

 この日の要望活動には、民団側から徐元附総ロ局長が出席、婦人会中央本部からも朴英子文化部長と高三連厚生次長が同席した。要望書を受け取った遠藤議員は、介護保険制度そのものは予定通りスタートさせるものの、制度上の不備については連立与党内で議論していくことになるとの見通しを表明した。

 なお、民団中央本部では3月初旬、まず東京で介護保険に関するセミナーを予定しており、遠藤議員と厚生省の担当者に講師役を要請した。

(2000.02.23 民団新聞)



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