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入居差別是正へ公的システム

川崎市が身元保証人に

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4月から実施
「外国人市民会議」の提言反映

 【神奈川】川崎市は、外国人や高齢者、障害者などが民間賃貸住宅入居に際して制約を受けないようにするため、公的保証人機構を4月からスタートさせる。これは「川崎市外国人市民代表者会議」からの96・97年度提言を受けて、市当局で検討してきた総合的な入居差別是正策の一環。実現すれば全国でも初めてのケースとなる。同趣旨をうたった「川崎市住宅基本条例」案は22日から始まる3月市議会で可決される見込み。

 公的保証人機構は川崎市が保証会社と協力した新しい入居保証システム。日本人の保証人が見つからない外国人らのために、制度そのものが保証人の役割を担う。

 賃借人は保証会社に一定の保証料を支払い、委託契約を結ぶ。万が一の事故の際、保証会社は、市に登録した賃貸人・協力不動産店に対して、住宅供給公社を経由して家賃保証債務の履行を行うというもの。保証会社の損失補償が上限を上回ったときは、市が補てんする。市は2000年度から3年間で6000万円の予算を組んでいる。

 このシステムを利用した入居者に対しては、病気・事故など入居後のトラブルに対しても、市と住宅供給公社が賃貸人・協力不動産店からの連絡を受けて支援にあたる。

 外国人がアパートなどに入居する際、これまで大家・不動産業者は万が一のトラブルを恐れて門前払いにするか、日本人の保証人を要求するのが一般的だった。外国人市民代表者会議では、96年度に外国人への入居差別を禁止する条項を盛り込んだ「仮称・川崎市住宅条例」の制定を提言、97年度には対象を高齢者、障害者にまで広げ、公的な保証人機構の設立を検討するよう求めていた。

 市まちづくり局では、提言の趣旨を施策に反映するため、関係者との間で2年間にわたる検討を重ねてきた。この結果、「高齢者、障害者及び外国人をはじめとする市民の居住の安定」をうたった「住宅基本条例」案を議会に提出、条例に基づいて二つの支援施策を4月からスタートさせることになった。

 入居差別を是正するための条例は東京都と新宿区をはじめとする都内19の特別区、大阪などでも設けているが、これだけ具体的な施策として実施に移すのは川崎市が初めて。

(2000.02.23 民団新聞)



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