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金大中大統領・3・1節81周年記念辞(要旨)

民主完成・情報化・福祉・和合・冷戦終息
5大課業の実現へ全国民が団結しよう



 新1000年に入り、初めて迎える意義深い3・1節を皆さんと一緒にお祝いいたします。祖国の独立のために、高潔な命を捧げ、犠牲となったすべての先烈に対し、深くこうべをたれて感謝し、彼らの偉大な意志をともに称賛しようと思います。

 私は「国民の政府」の過去2年を回顧しながら、今後進む方向について、いくつか述べたいと思います。

 まず、この2年間でこの国の民主主義、特に人権の伸張が刮目するほど実現しました。合法的で平和的であれば、どのような示威や集会、ストも今や源泉から封鎖されることはありません。今や街頭から催涙弾と火炎瓶が消えました。

 言論の自由は、言論人自身と国民の各種世論調査を通じて認定されたように歴代のどの政権よりも保障されています。市民運動は驚くほど活発に運営されていることは、皆さんが目撃しています。

 労働運動の自由も完璧に保障され、民主労総や教員労組が合法化され、労働者の政治参与や政治資金募金も許容されています。軍、警察、その他公務員も今や政治的中立の保障を受けています。

 しかし、いまだに民主主義が完成したのではありません。何よりも政治の混乱が、国政発展の足首をつかんでいる現実です。

 政治の責任をつかさどる一人として国民の前に大変恐縮しています。必ずや政治が安定しなければなりません。政治が安定してこそ未来のための改革をすることができます。改革を中断すれば、私たちは三流国家に転落してしまいます。

 私たちの経済改革の成果は、世界が注目しています。金融、企業、公共、労働部門の改革を通して、私たちは破綻直前にあった国運を生き返らせ、「6・25動乱」以来の最大の国難を克服しました。

 98年にマイナス5・8%に墜落したわが国の経済が、昨年には10・2%の成長となりました。世界が驚いています。物価は史上最低に下がりました。金利も一桁の数字です。換率も適正線を維持しています。200台の線まで落ちた株価も大きく上昇し、今では九百の線を上下しています。

 貿易黒字も健全な基調を維持し、今年は120億ドルの貿易黒字目標を達成するものと見ています。

 そうであれば、今私たちは安心してもよいのでしょうか。決してそうではありません。私たちはやっと外換危機を克服しただけです。

 21世紀の無限競争時代、そしてまったく新しいパターンの新千年の経済条件に適用しようとすれば、真に革命的な転換がなければなりません。

 今、わが国のインターネット利用者は約1000万人ですが、今年中にさらに1000万人が増えるものと見られます。私の任期中に全国民がコンピュータを持ち、インターネットを利用しようとしています。今や韓国は米国に次いでインターネットを多く利用しています。わが国民は超人間的な霊的な存在が接した人間のように、情報化時代に適用しています。私たちは知識情報10大強国の一つになるでしょう。私たちの未来は蒼々としていることを、私は皆さんに確信を持って述べます。

 今、皆さんに懇切にお願いしたいことが一つあります。それはこのたびの選挙を契機に、必ず地域主義を打破しなければならないということです。

 しかし、不幸にも今の状況は正反対に向かっています。どこにも地域主義を悪用して選挙で利得を得ようとしています。

 与党であれ、野党であれ、このようなことは到底許すことはできません。3・1精神に逆行し、民族に対する罪悪として私たちは断固として審判を下さなければなりません。

 今は世界化の時代です。南北韓さえ和解しなければならない時代です。南北分断も嘆かわしいのに、同じ大韓民国の中で地域が分かれていて、どうして福を受けることができますか。どうして先烈に名目がありますか。

 3・1運動がどのような運動ですか。全国民が咸鏡道から全羅道まで、平安道から慶尚道まで、皆が一つになり、闘争した民族独立運動ではないですか。全民族が一つのように、その意義を称賛し、教訓を学んだのです。 私は大統領に就任し、北韓に対して確固とした安保の基盤の上に、和解の協力を推進することを宣布しました。

 「太陽政策」を通じて、世界で唯一いまだに継続している冷戦状態を終息させることは、皆さんと私の最大の願いであります。

 「太陽政策」は北韓に対してその安全を保障し、経済回復を助け、国際的な進出を支援すると約束しています。同時に北韓は対南武力挑発を放棄し、核武器とミサイルに対する野望を完全に捨てなければなりません。

 このように互いにやりとりする中で、双方がともに利益を得る、政策を私たちは主張しています。私たちは「太陽政策」だからといって、決して安保をおろそかにしません。延坪海戦がいい例です。

 私は延坪海戦が起きた時、国防長官に四つの事項を指示しました。その内容は、「北方限界線を死守せよ。こちらから先に発砲するな。北韓が発砲したら断固これを粉砕せよ。しかし、戦争に拡大しないよう留意せよ」というものでした。

 この1年、北韓は意味ある二つの変化を見せています。一つは金倉里地下核疑惑使節施設に対する査察を受容したことであり、もう一つはミサイル第2次発射を中止したことです。これによって、戦争の脅威が大きく減少しました。もう一つは金剛山観光をはじめ、南北間の文化、スポーツ交流はもちろん経済交流が相当活発になった点です。

 百を超える韓国の企業が北韓に進出しており、大企業も本格的に投資を推進しています。昨年1年間の南北間の交易は、3億3000万ドルと史上最高を記録しました。

 私たちが忍耐と一貫性と誠意を持って努力すれば、私の任期中に冷戦終息という目標は必ず達成することができると、確信せざるを得ません。

 今は統一を追求する段階ではありません。私たちは経済的にもそんな力がなく、かりにあっても南北間で戦争し、50年以上武装対決をしてきた状態で精神的葛藤を簡単に克服することはできません。ドイツが私たちにいい教訓を与えています。

 しかし、私たちは決して統一を放棄することはできません。1300年間、統一国家を達成してきたこの民族が、どうして50年分断のために統一を放棄することができますか。

 私たちは3・1精神を胸に蘇らせ、時が来れば、必ず統一を実現するという決意をともに固く誓わなければなりません。

 私は皆さんと一緒に5大課業、すなわち@民主国家の完成A知識情報国家の建設B生産的福祉の実現C国民的大和合D韓半島冷戦の終息―を必ず実現し、新千年、21世紀の大韓民国を世界一流の国家に、皆さんとともにつくろうと固く誓う次第です。

 私たち皆が力を合わせ、大韓民国を世界一流の国家につくりあげましょう。それを基盤に南北の平和的統一を実現させましょう。7000万民族が抱きしめ、自由と繁栄と正義を謳歌するその日を達成しましょう。そうしてわが民族全体の幸福を実現させ、子孫に3・1先烈とともに誇れる先達になりましょう。

2000年3月1日 大統領 金大中

(2000.03.08 民団新聞)



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