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チョゴリ誇らし、第2の本名宣言

尼崎高校の同胞3人、決意新たに



民族衣装で巣立つ先輩を
在校生がサムルノリを演奏して祝福した

 【兵庫】兵庫県尼崎市立尼崎高校(曽我部尚士校長、生徒数914人)に在籍する3人の在日同胞生徒が、今春、韓服姿も誇らしげに同校を巣立っていった。入学してから思い悩みつつ、内面の葛藤を克服して本名を名乗るようになった3人。民族衣装で「2回目の本名宣言」をしたのは、日本社会でこれからも在日同胞として生きていくとの決意の表れでもある。

 今年の同校卒業生287人の中には在日同胞生徒が10人いる。このなかから、趙美鈴さんがチマチョゴリで、許聡君とハイ勝幸君はパジチョゴリに身を包んで2月29日の式典に臨んだ。

 趙さんは韓日二重国籍。これまで通名で通してきたが、3年生になって選択科目の韓国語を同校の趙奈美講師から学ぶなか、自分が「ダブル」であることを語るようになり、卒業式を機会に本名で生きる決意を固めたという。

 許君は日本語読みの本名だったのを、学校側の取り組みを受けて本来の呼び名「ホ・チョン」と名乗るようになった。日本国籍者のハイ君は、「竹本」と「ハイ」の間で揺れ動いてきたが、1年生の終わりに自ら決意して「本名宣言」した経緯がある。

 それぞれの韓服は、金剛学園PTA常任顧問を務める呂英華さん(大阪市、韓国古典芸術舞踊家)がプレゼントした。許君に限っては間に合わず、民団宝塚支部から借り受けた。

 許君とハイ君は「制服と違い、式場に入るまで緊張して複雑な気持ちだった。在校生らの拍手でようやく普通に戻った」と興奮冷めやらぬ様子。一方、趙さんはというと「民族衣装を着ての式典にうれしくて、涙が出てしかたありませんでした」という。

 同校で在日同胞生徒が民族衣装で卒業式に臨むのは82年以来、今年で十四度目。この年を境に前後して生まれた子どもたちが今年の卒業式に臨んだことになる。

 同校「在日韓国朝鮮人生徒同胞の会」顧問、藤原史朗教諭は、民族衣装にこだわってきた理由について「入学時に本名宣言した子どもたちにとっては、2回目の本名宣言です。大学に進学したり、実社会に出ても、在日コリアンとして生きていくという決意のあかしなのです。本校人権教育の成果として是認されており、市民権を得た感がする」と話している。

(2000.03.08 民団新聞)



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