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「提岩里事件」描いた演劇

劇中で"謝罪"と赦し



 3・1独立運動81周年を記念して、独立運動の中でも弾圧の象徴として知られる堤岩里事件を描いた演劇「銃剣と処容の舞い」が1日から5日まで、在日韓国YMCA・スペースワイで上演された。=写真=

 「銃剣と…」は1919年4月15日、京畿道華城郡郷南面堤岩里の小さな教会堂内で、独立運動の弾圧に当たった日本軍によって村の男たちが虐殺された事件を素材に、韓国の劇作家・李盤さん(宗実大学教授)が戯曲を書き下ろし、日本語の台本を高堂要さん、演出を内田透さんが担当した。

 3月1日、パゴタ公園での独立宣言文の朗読を期に、民衆による非暴力の「万歳運動」が全土に広まっていくが、独立を叫ぶ民衆に対し、日帝の官憲警察や各駐屯地の軍隊は武力によって弾圧した。

 劇中の登場人物のほとんどは当時実在した人の証言に基づいて構成されている。教会堂で行われた凄惨な行為の全容が、生々しい証言によって浮き彫りにされた。後半、日本人で初めて堤岩里を訪れた、尾山牧師が教会の建て直しと和解の申し出をする。拒否する生き残った村民たちの中で、和解を象徴する「処容の舞い」を踊るハルモニのシーンから、赦しと癒し、和解が始まっていく。

 公演の終わり部分は創作劇。このシーンについて李さんは「謝りがあってこそ和解がある」と従軍慰安婦問題など、未だ韓日間で決着されていない問題に言及した。

 また「感情的、盲目的、民族主義、軍国主義がいかに悪いか。これは81年前のできごとではなく、今もコソボやチェチェンなどでも起こっている。暴力が人間社会からなくなってほしい。過去だけではなく、現在も世界でおきていることを見てほしい」と語った。

(2000.03.08 民団新聞)



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