民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
辛野乃の短期母国修学記<6>

「386世代」の叫びが聞けます



 言葉を学ぶなら、学校の授業だけが勉強ではない。テレビのニュースは発音のお手本になるし、ドラマを見れば、教科書にはない表現を知ることが出来る。音楽や映画もまた同じだ。

 テレビを見ている時やCDショップに行って、よく耳にする言葉で「386世代」というのがある。もちろん辞書に載っていない。

 これは年齢が30代で、80年代に大学に通った60年代生まれの人達のこと。少しでも歴史を知っている人ならお分かりだと思う。かつて学生運動が盛んだった頃、社会の矛盾に立ち向かった人たち、日本で言う「団塊の世代」を指す言葉なのだ。

 意味が分かってみると驚いたことに私もこの条件に当てはまる。もちろん生まれ育った環境は大きく違う。

 ソウルオリンピック前後に起きた数々の事件、彼らが青春を捧げたその運動をテレビの前で見ていただけだ。だけど衝撃は大きかった。

 この影響なのか、私の韓国のイメージはずっと「灰色」。実際に生活してみたら変わるかもと期待していたけれど今のところ変わらない。むしろ386世代を対象にしたCDや映画パッカサタン(はっかあめ)などにふれたことで、強くなったような気がする。

 けれど新世代文化と呼ばれるダンス歌謡中心の今日に、単なるナツメロではなく、熱き時代の文化が流行するのは、「現実」を受け入れて消えていった人々への応援歌でもあるのだろうか。

 来る選挙では政界デビューを果たそうと、かつての学生会長達が準備を進めているそうだ。日本で育った386世代が受けた「灰色」のイメージを彼らが払拭してくれることを期待している。

(2000.03.15 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ