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南北当局者会談などを提議

金大中大統領がベルリン宣言



 金大中大統領は9日午後(現地時間)、ベルリン自由大学での演説を通じて「大韓民国政府は北韓が経済的困難を克服できるよう支援する準備ができている」とし、北韓に対して、@南北当局者間の直接対話と協力A韓半島の冷戦終息と平和定着B離散家族再会問題への積極的な対応C南北特使の交換――の4項目を提議する「ベルリン宣言」を発表した。(全文別掲)

 金大統領は「ドイツ統一の教訓と韓半島問題」と題した演説で「南北間の政経分離原則による民間経済協力が行われているが、これからは政府当局間の協力が必要であり、わが政府は北韓当局からの要請があれば積極的に検討する準備ができている」とし、北韓に対して積極的に応じることを呼びかけた。

 金大統領は特に@本格的な経済協力のための道路・港湾・鉄道・電力・通信など社会間接資本の拡充A投資保証協定と二重課税防止協定の締結B北韓食糧難の根本的な解決のための肥料支援・農機具や種子の改良・潅漑施設の改善など、農業構造改革を協力課題として提示した。

 さらに、「これまでの民間経済方式では限界がある」と強調、「南北基本合意書履行のために提議した特使の交換を北韓が受諾することを促す」と2年前の就任式で呼びかけた南北当局者会談を再度提議した。

 金大統領はまた「わが政府は真の和解と協力の精神で、可能な限り北韓を支援する用意がある。北韓はわれわれの誠意を疑わずに和解と協力のための提案に積極的に応えてほしい」と呼びかけた。

 この日、韓国では金大統領の新しい対北韓提案を朴在圭統一部長官名で板門店を通じて北韓側に伝達したほか、外交通商部を通じて米国・日本・中国・ロシアの四カ国に伝えた。


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ベルリン宣言(全文)

 私は本日、ベルリン自由大学を訪問したこの席を借りて、地球上に最後に残された韓半島冷戦構造を解体し、恒久的な平和と南北間の和解・協力を成し遂げるため、以下の通り宣言する。


■北韓経済回復支援

 第一に、わが大韓民国政府は、北韓が経済的困難を克服できるよう、手助けをする準備がある。

 これまで、南北韓は政経分離原則による民間経済協力が進められている。しかし、本格的な経済協力を実現するためには、道路、港湾、鉄道、電力、通信など、社会間接資本が拡充されなければならない。

 また、政府当局による投資保障協定と二重課税防止協定など、民間企業が安心して投資できる環境造成が必要だ。

 さらに、現在、北韓が抱えている食糧難は単純な食糧支援だけで解決できるものではない。肥料、農機具改良、関係施設改善など、根本的な農業構造改革は、民間経済協力方式だけでは限界がある。

 したがって、これからは政府当局間の協力が必要な時である。わが政府は北韓当局から要請があった場合、これを積極的に検討する準備がなされている。


■冷戦終息と平和定着

 第二に、現段階で我々の当面目標は、統一よりも冷戦終息と平和定着である。

 従って、わが政府は真正なる和解と協力の精神で力が及ぶ限り、北韓を手助けしていく。

 北韓はわれわれの誠意を疑わずに、われわれの和解と協力の提案に積極的に応じてほしい。


■離散家族再会

 第三に、北韓は何よりも人道的次元の離散家族問題解決に積極的に応じなければならない。

 高齢化し亡くなる人が増えている離散家族の再会をこれ以上遅らせてはならない。


■当局者会談提議

 第四に、これらすべての問題を効果的に解決するため、南北韓当局間の対話が必要だ。

 私はすでに2年前、大統領就任の際にも、1991年に採決された南北基本合意書の履行のために、特使を交換することを提議した。

 北韓はわれわれの特使交換提議を受け入れることを促求する。

 わが大韓民国政府は、韓半島問題は究極的に南北韓当局者だけが解決できると確信し、今後もこれらの政策を誠意と忍耐心を持ちながら一貫して推進していく。

 ドイツをはじめとした国際社会も韓半島の冷戦を終息させ、南北間の和解と協力が1日も早く実るよう、より一層の積極的な声援と支持を継続してほしい。


2000年3月9日 ベルリン
大韓民国大統領 金大中

(2000.03.15 民団新聞)



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