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地方参政権法案、国会審議入りを確認



「しゅくしゅくと法案審議を進め、採決していいのではないか」

 四月二十日、野中広務自民党幹事長は与党三党幹事長会談でこのように語り、永住外国人への地方選挙権付与法案の今国会での審議入りを了承しました。

 本団はこの自民党幹事長の今国会審議入り発言を高く評価するものです。

 この会談で、野中幹事長は永住外国人への地方選挙権付与の実現は、「三党の公党間の合意であり、尊重すべきだ」との基本認識を改めて示しています。

 また、保守党の野田毅幹事長も自由党から引き継いだ方針として法案に異存はなく、「そのまま進めて結構だ」と賛同しています。今後は、法案の審議開始日がいつになるかが注目されます。一部の情報では、五月連休後に衆議院の「政治倫理・公職選挙法改正特別委員会」で審議される見通しとも言われますが、本団としては連休前の審議入りを強く望んでいます。


 これ以上の先送りは良策でない

 本団では、今年の通常国会冒頭の二日目、一月二十一日、公明・自由両党から提出されていた法案の成り行きを注視、遅くとも、予算関連法案などの重要法案の成立が済む四月半ば以降から参政権法案の審議が本格化するものと期待していました。

 ところが、四月初めの小渕首相の突然の病気退陣により、一気に解散・総選挙の風が吹き、各政党とも参政権法案の審議どころではない雰囲気となったことに本団は強い危機感を持ちました。

 自民党の選挙制度調査会では昨年十二月から週一回のペースで順調に検討会議を進め、あと三、四回残すのみで四月中には党として中間発表をする予定であったときいています。ところが、突然四月五日から理由を明示することなく中断状態になっており、一刻も早い再開が望まれます。

 これは小渕首相の病気退陣とあわせて、参政権推進派であり、自民党に一定の影響力を持つ小沢一郎党首率いる自由党の与党離脱の影響、また自民党内の一部反対派の強硬な運動もその原因ではないかと推測されていました。

 そのようなことから、本団では二十世紀の最後の年である今年中に成立できるかどうか憂慮し、就任の挨拶を兼ねて金宰淑中央団長は各政党にあらためて今国会での立法化を要請して回った経緯があります。


 森首相の政治決断を期待

 野中幹事長の発言を受け、自民党が約束通り法案を成立させるのか、本団では注視せざるを得ません。戦後五十年以上日韓親善の基盤をつくってきた自民党の力で参政権法案が成立することを私たちは願っています。

 一方、永住外国人の「住民」しての権利を認め、地方参政権を付与するように政府に求める地方自治体議会の意見書採択も順調に増えています。三月議会では鹿児島県議会をはじめとする一県四市十一町五村の二十一自治体で新たに決議され、現在一千四百六十自治体で採択されています。これは日本の人口比で見るとすでに七四%を超え、四十七都道府県議会の七七%が地方参政権付与を求めていることになります。

 永住外国人への地方参政権付与は大きな人権問題であります。一部反対派には外国人住民の人権を考える意識が欠落しています。今なお党内の異論を理由に自民党だけがまだ結論を出していません。

 「人間の最高の肩書きは『住民』である」と言います。今国会での法案成立に向け、森首相の強い決断を願っています。

(2000.04.26 民団新聞)



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