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「三国人」発言、都知事の見解に民団納得せず



民団関係者に石原都知事の
真意を説明する青山(右)、福永両副知事

「三国人」は差別発言と認識すべき
啓発策の具体化など再要請

 民団中央本部の具文浩副団長らは二十日、東京都庁を訪れ、内外に波紋を広げている石原慎太郎都知事の「三国人」発言問題について、福永正通、青山両副知事から同発言の真意について説明を受けた。

 福永副知事が読み上げた知事の見解文は、不法入国の外国人を「不法入国した三国人」と表現したことが、在日韓国・朝鮮人をはじめとする一般外国人の心を不用意に傷つけることになったのは、本意ではなくきわめて遺憾。あくまで不法入国、不法滞在している外国人をさして言ったが、一般の外国人の心を傷つけるつもりはないので、今後は一切その言葉を使わないようにする―というもの。

 これに対して、具副団長は(1)「三国人」表現を差別用語として認識し、その旨明記する(2)差別解消と人権意識の啓発に率先する都の具体策を盛り込む(3)石原都知事名で金宰淑団長あてに文書回答する―よう求めた。副知事は民団の要望を都知事に報告し、調整すると答えた。

 民団では同発言が明らかになった十日以降、発言をただす声明文を伝達するとともに都知事への面談を申し入れていた。この日は中央本部の徐元テツ国際局長、東京本部の夫昇培団長、婦人会中央本部の夫順末会長、青年会中央本部の金昌敏会長らが同行した。

 「民族共生教育をめざす東京連絡会」(共同代表、金敬得・田中宏)と「民族共生教育をめざす東京保護者の会」(金敬得代表世話人)も二十日、東京都庁を訪れ、石原慎太郎知事発言が学校現場で日本人生徒の排外意識を誘発しつつあるとの憂慮を表明、教育委員会としての早急な対応を促した。この日の話し合いには、教育庁指導部の長谷川純一主任指導主事が応対した。

 「めざす会」の一員で都立文京高校教諭の鈴木啓介さんは「生徒の中には『外国人恐いよ』という子もいる。今後、学校現場で『第三国人』という言葉が飛び交う可能性もある」と述べた。同じく「保護者会」の呉崙柄さんも、「(外国人という言葉が)いじめの代名詞になる可能性がある。言葉の暴力が恐い」と指摘した。

 これらの発言を受けて、「保護者会」の金早子さんが、「東京都のトップの発言だけに、あまりにも影響が大きい。教育委員会としても、どうして間違った発言なのかを教員に知らせるべきだ」と早急な対応を求めた。

 これに対して、長谷川主任指導主事は「都教委はあらゆる偏見差別が起きないよう教育現場を指導している。教育庁内部でも話し合ってみる」と約束した。

(2000.04.26 民団新聞)



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