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在日同胞戦傷元軍人・軍属への補償

与野党の法案出そろう
与党は一時金方式、野党は年金方式で



 旧日本軍の軍人・軍属として負傷、戦没した在日韓国人などの特別永住者に対する与野党の補償法案が、二十日までに出そろった。与党案は一時金に限定、一方の野党案では日本人同様の年金方式を採用している。

 自民、公明、保守の三党合意案によれば、戦没者と重度戦傷病者の遺族に一人あたり弔慰金として二百六十万円、重度戦傷病者本人に対しては一人当たり二百万円の見舞金と老後生活設計のための支援金二百万円の計四百万円を支給するというもの。議員提案の特別立法として今月中にも国会に提出、成立すれば二〇〇一年一月六日から三カ月以内の施行を目指している。

 一方、民主党が二十日、議員立法で国会に提出した法案は、戦傷を負った本人に対しその障害の程度に応じて現行の戦傷病者戦没者遺族等援護法と同等の特別障害給付金を支給しようというもの。戦没者・戦傷病者遺族に対して、犠牲者一人につき特別遺族給付金三百万円を贈ることにしている。

 両方案は五月連休明けにも衆議院内閣委員会で本格審議入りする。

 日本政府は、日本人の元軍人・軍属に対して、一九五二年から恩給法と戦傷病者遺族等援護法に基づき恩給、年金の支給を始めた。しかし、第二次大戦中、日本の軍人や軍属として徴用された在日韓国人、台湾出身者などについては、サンフランシスコ条約で日本国籍を失ったとして支給対象から除外された。

 これに対して法廷からは立法救済を求める声が高まり、九九年三月には自民党の野中広務官房長官(当時、現幹事長)が「二十世紀の残された問題を、今世紀中に解決しなければいけない」と表明していた。民主党議員立法の共同提案者の一人、山本勉衆議院議院も「(法案提出は)野中さんの話に始まった。与党案と練り合わせ成立させたい」と意欲的だった。


50年間も放置未だ差別感残る

 滋賀県在住の在日同胞戦傷元軍属、姜富中さん(八〇)の話 「五十年間もほったらかしておいて、見舞金では通用しませんよ。日本人と同じにしてほしい。もうこんな差別の国にはいたくない。解決したら韓国に帰って祖先の墓の前で死にたい」

(2000.04.26 民団新聞)



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