民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
辛野乃の短期母国修学記<11>

サンバを踊る貴方



 恐怖の中間試験が終わり、ホッと一息ついたところで各級ごとにイベントが行われる。一級ではイヤギマダン(スピーチコンテスト)、三級と四級では演劇大会、そして私の受けている二級ではノレジャラン(クラス対抗歌合戦)がある。

 曲の選択が優勝の行方を大きく左右すると聞いて、私たちも曲探しを始めた。民謡にするか?流行の歌に合わせて踊ろうか?日本の歌の替え歌を作ろうかとさんざんもめた結果、決まったのは、ソルウンドという橋幸夫に似たオジサンが歌っている「サンバの女」。軽快なリズムと簡単な歌詞が選ばれた理由だ。

 それからは休み時間ごとに練習の日々。授業中も宿題をやっていても頭の中はサンバサンバ。ライバルクラスはノレバンで練習していると聞いて負けず嫌いの闘志に火がついた。

 新たにダンスを考え、踊ることにして女性陣はポンポンを持ち、男性陣はバラをくわえて登場することになった。

 当日、私たちの出番は五番目。先のクラスの出来を見ながら「大きな声で歌うこと」「笑顔で踊ること」などといった指示が飛ぶ。そしてライバルクラスの登場だ。なかなかの出来に、突如クラス一の元気おばさんが男性陣に化粧をすることを命令。日本の某大手新聞社のMさんは「女房に怒られる」を連発していたが、泥棒ヒゲと口紅でメイク。優等生も形無しである。

 そんな苦労の甲斐あって大ウケし、見事優勝!このまま街に出ればお小遣いを稼げるとまで言われ、一同苦笑い。

 だが、このイベントのおかげでクラスの絆が固くなった。優勝賞品のアルバムに、早速、この日のみんなの晴れ姿(?)を貼った。

(2000.05.10 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ