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あの熱い思いをもう一度



 金大中大統領と金正日国防委員長の南北首脳会談以後、スポーツ分野の南北交流が急進展の兆しをみせています。

 シドニー五輪では南北同時入場行進や、共同応援・合同訓練などが実現しそうです。また、サッカーでは十月に行われるアジアカップ(レバノン)で南北統一チーム構成の可能性があります。さらに、来年大阪で開かれる世界卓球選手権大会では、一九九一年の千葉大会で実現した、南北単一チーム「コリア」が再結成される見込みです。

 このように期待されるのは、スポーツには政治的負担が少なく、これまでも南北間で交流してきた経験があるからです。


◆全同胞が熱狂した千葉卓球

 この流れを在日同胞社会にも反映させ、民団と朝鮮総連の交流を進めていかなければなりません。

 千葉世界卓球選手権では南北が「コリア」チームとして単一チームを結成しました。この単一チームを応援するため、民団と朝鮮総連も「共同歓迎・応援団」を構成し、同族の情愛を分かち合いました。

 選手も応援団もひとつになり「コリア」チームは大活躍を見せ、女子団体では世界最強の中国を下して優勝、全民族を熱狂させました。選手も応援団も抱き合い感動を分かち合いました。

 大会期間中、選手も応援団も同族としての思いを抱いて、格別の仲になりました。選手も同胞も「コリア」チームの一員になれたことは大きな喜びでしたが、消えない傷も残しました。

 「コリアチームは永遠」だと望んでいたのもつかの間、大会終了後に即時解散したため、再び南北別々のユニホームを着て対決しなければなりませんでした。

 民団も「共同応援」を契機に在日同胞の交流をさらに広げようと、朝鮮総連に「同胞和合・交流のための常設委員会」の設置を呼びかけましたが、実現することなく今日に至っています。


◆永遠の「統一チーム」願って

 それでも、花見やサッカー、ゴルフ、囲碁など、同胞集中地区を中心にいくつかの地域で民団同胞と朝鮮総連同胞の交流が進められてきました。

 南北首脳会談の成功を受けて民団は朝鮮総連に対し、提議書を通じて「同胞社会の和合と団結、そして統一」のために「無条件に対話・交流していこう」と呼びかけました。そして、朝鮮総連も声明を通じて、老若男女の在日同胞が思想と所属団体の差をこえて統一へ共に立ち上がろうと発表しました。

 民団系であろうと朝鮮総連系であろうと、在日同胞は同じ被植民地支配の歴史的体験を持ち、日本社会での強い民族的差別の中、血と汗をにじませながら今日の生活基盤と社会的地位を築き上げてきました。それこそ同じ「生活者」として、今日なお共通の課題を数多く抱えています。

 南北首脳がお手本を見せたように、まず直接会い、話し合うことから新たな一歩が始まるのです。スポーツやサークルなど非政治的な分野で、可能なことから交流と和合を進めていきましょう。

 とりわけ来年大阪で開催される世界卓球選手権では、ふたたび南北が単一チームで出場することが濃厚となりました。九年前に千葉で見せた「在日同胞」の熱い思いをふたたび再現させましょう。そして、次に統一チームを構成する時は、別れることのない韓民族統一チームを作ってほしいと願ってやみません。

(2000.6.28 民団新聞)



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