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21世紀の民族教育をめざして



 第37回在日韓国人教育者研究大会が教育関係者の多数の参加のもと、「21世紀のグローバル社会に対応する民族教育の方向」をテーマに東京で開催されました。

 東京、京都、白頭、金剛の民族学校4校と韓国教育院、そして日本の学校における民族学級の講師と本団の教育関係者は、グローバル社会ゆえに民族教育がより必要となることを認識し、新たな決意で臨むことを共通の課題としました。


■好ましい状況の変化

 同胞社会の少子化傾向と帰化者の増加、また国際結婚による韓国籍子弟の減少という条件の中で、生徒数の減少傾向が指摘されている民族学校ではありますが、状況いかんによっては改善の可能性も見えています。

 まず、大阪府のような日本の社会の変化です。日本の公教育の場で多文化・共生教育の場として積極的に受け入れられ、本名指導を含めて民族学級が増加していることです。同胞過疎地方の鳥取県でも受け入れられました。この変化は居住同胞の多寡にかかわらず民団組織や保護者の要望によるもので、他地方においても今後の取り組みが期待されます。また、日本の高校における韓国語教育も年々増加し、昨年は171校に上りました。

 90年代の初めから本団が取り組んできた地域住民としての「10月のマダン」のような共生運動や2002年ワールドカップ韓日共同大会の開催などによる関心の高まりによる結果と言えましょう。また、オリニ教育の定着、拡大の兆しを指摘できます。

 1993年、東京韓国学校から始まったオリニ土曜学校は現在、20地方本部、22カ所で取り組まれ、800人をこえるオリニが学んでおります。教師が確保できればすぐに取り組む地方も多いのです。このことは、できれば子供たちに幼い頃から民族的素養を学ばせたいと願っている2世・3世の親の多いことを意味しています。このような状況は、体系的な民族教育を受けられる、民族学校へのセン在的な願望を意味していると言えないでしょうか。


■教育改革で成果あげる

 民族学校の就学児童の減少傾向は民族学校関係者と民団関係者の危機感を募らせ、4校はそれぞれ教師、理事会、保護者そして地域同胞社会と一丸となって教育改革と生徒募集に取り組んできました。特に著しい減少傾向を示し、学校としての存続さえ危ぶまれた京都韓国学校は、恵まれた施設を活用し、学力向上とスポーツへの本格的な取り組みを図り、生徒数は昨年から増加に転じました。ニーズへの積極的な対応の結果と言えるでしょう。

 白頭学院、金剛学園の2校も民族教科と学力向上に著しい成果を上げていますが、まだ生徒の増加までにはいたっていないようです。東京韓国学校は、ウリマルの実力の上に英語を重ねインターナショナル・スクール的な性格を帯びようとしています。

 来る21世紀は、国と国との交流を意味する国際化時代から、さらに進んで国の壁それ自体が低くなるボーダレス時代と言われます。多様な文化が混在する時代であり、民族的アイデンティティが個性の一つとして尊重される時代となるでしょう。

 グローバル時代の民族教育は、狭隘な民族至上主義の理念ではなく、人類普遍の人権教育であり、民族の成員としての文化教育であり、共生の教育であります。違いを尊重し、民主的で開かれた社会の一員としての教育を通じて豊かな在日同胞社会を築きましょう。

(2000.08.02 民団新聞)



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