民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
連絡事務所を再開し京義線を復元

南北閣僚級会談で合意



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次回は8/29に平壌で

 ソウルで7月29日から行われていた南北長官(閣僚)級会談は31日、「6・15南北共同宣言」を誠実に履行していくため、会談の継続や板門店の南北連絡事務所の再開など6項目からなる共同報道文を発表して終わった。(共同報道文の全文別掲)

 共同発表文には@閣僚級会談を南北共同宣言の精神に合致させ運営するA96年11月に暫定的に中断された板門店の南北連絡事務所を今年8月15日を契機に再開するB8月15日に合わせて南北と海外でそれぞれの地域別に南北共同宣言を支持・歓迎し、その実践への全民族的決意を示す行事を行うC南北は朝鮮総連同胞が訪問団を構成し、故郷(韓国)を訪問できるよう協力、関連した適切な措置を取るD南北は京義線(ソウル〜新義州)の断絶区間を連結し、そのための問題を早期に協議するE第2回長官級会談を8月29日から31日まで平壌で開催する―が盛り込まれている。

 南北和解ムードは維持されたが、韓国側が求めていた軍事直通電話(ホットライン)の開設など緊張緩和の具体策は今後の協議に先送りされた。今回の会談で韓国側は、軍事・安全保障、経済協力、文化・社会の分野別に協議を進め、合意点を導き出したい考えであった。しかし、北韓側代表団には経済や軍事の専門家は含まれていなかった。

 共同報道文発表後に記者会見をした韓国代表団の金順珪文化観光部次官は、軍事や経済問題などを具体的に論議したのかとの質問に、「包括的に話し合いをしたことを報告する」とだけ答え、言及を避けた。

 総連傘下同胞の「故郷(韓国)訪問」は30日の会談で北韓側が提案したもので、共同報道文には民団同胞の北韓訪問は盛り込まれなかった。この点について金次官は「これまで制限的に実施されてきた朝鮮総連同胞の韓国訪問を北韓が公式に認めたことに意義がある。まず朝鮮総連系の同胞の故郷訪問を進め、段階的に民団系同胞の北韓訪問も推進する」と述べた。


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朝鮮総連同胞の「訪韓団」
民団が実施の墓参団との整合性必要

25年前から実施…既に5万人参加

 7月31日に発表された南北閣僚級会談の共同報道文によれば、「朝鮮総連(総連)同胞の自由な故郷訪問への道を開くこと」が、謳われている。

 この決定は、総連の訪韓団を韓国政府が受け入れるというものだが、「故郷訪問」に関するこれまでの在日同胞社会の取り組みと経緯、そして現実を踏まえていないものと言わざるを得ない。

 そもそも総連同胞をいわゆる「離散家族」の枠組みに入れているが、自由意思で訪韓できる同胞をその枠で考えること自体が不当である。

 周知の通り、民団は1975年から総連傘下同胞を対象に「省墓団(母国訪問団)事業」を実施し、これまで約五万人もの「朝鮮籍」同胞を、父母兄弟が待つ懐かしい故郷へと送った。

 在日同胞の九割が38度線以南の韓国出身にもかかわらず、在日同胞社会は信奉する思想の違いから民団と総連に分裂してきた。総連同胞は事実上、訪韓することが不可能だったが、その不幸な状態を改善し、「朝鮮籍」のまま臨時パスポートを発給し、韓国に行って来れるように道を開いたのが省墓団事業である。

 祖先の墓参りという人道主義に基づいた事業は、総連同胞を含む在日同胞社会から歓迎されたが、総連は訪韓を阻止するために、韓国を生き地獄のように逆宣伝し、訪韓すると拘束されると脅すなど、様々な妨害行動を繰り返した。そのため、訪韓する同胞は居住地から遠く離れた空港から出発せざるを得なかった。

 韓国政府は以上の事実経過を踏まえ、民団が推進してきたこれまでの省墓団事業との整合性を確かなものにした上で、今回出された総連同胞の「故郷訪問」を慎重に扱うべきである。


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南北閣僚級会談の共同報道文(全文)

 韓国と北韓が7月31日に発表した南北閣僚級会談の共同報道文は次の通り。


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 第1回南北閣僚級会談を2000年7月29日から31日までソウルで開催、南北首脳の歴史的な平壌会談と6・15南北共同宣言の重大な意義を強調し共同宣言を誠実に履行するため次のような当面の事項に合意した。

 一、南と北は南北閣僚級会談を南北共同宣言の精神に合致するよう運用する。

 @南北閣僚級会談は双方の首脳が署名した共同宣言の合意事項を尊重し、共同利益を追求する方向へ、その履行問題を協議、解決する対話となるようにする。

 A南北閣僚級会談は不信と論争で一貫していた過去の惰性から抜け出し、信義と協力をもって容易な問題から解決する対話になるようにする。

 B南北閣僚級会談は民族に実質的な結実を出せるよう実践を重視し、平和と統一を志向する対話となるようにする。

 二、1996年11月に暫定的に中断された板門店南北連絡事務所の業務を2000年8月15日を契機として再開する。

 三、今年8・15に合わせて南と北、海外でそれぞれ地域別に南北共同宣言を支持・歓迎し、その実践のための全民族的な決意を集める行事を進める。

 四、在日本朝鮮人総連合会の同胞たちが訪問団を構成し故郷を訪問できるよう協力し、これと関連した適切な措置を取る。

 五、京義線鉄道の断絶された区間を連結し、そのための問題を早い時期に協議する。

 六、第2回南北閣僚級会談を2000年8月29日から8月31日まで平壌で開催する。

2000年7月31日 ソウル

(2000.08.02 民団新聞)



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