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第55周年光復節

民団中央団長慶祝辞



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在日同胞社会、活力に満ちた未来に向け

 親愛なる同胞の皆さん!

 今日は光復55周年の記念日であり、20世紀最後の光復節を迎える意義深い日です。私は、この場を借りて今日の栄光に満ちた祖国を作り上げた愛国先烈の犠牲的努力に感謝し、謹んで殉国英霊の冥福をお祈りする次第です。

 20世紀の祖国の歴史を振り返れば、1910年に日帝の植民地に転落し、わが民族は耐えられない屈辱と亡国の哀しみを体験しました。第2次大戦の結果、祖国は解放されましたが、強大国の冷戦構造により分断と民族相残というとてつもない悲劇を経験し、分断の固定化という受難に耐えざるを得ませんでした。

 しかし、20世紀の私たちの歴史は、わが民族が強靭で賢明な民族として多くの逆境と挑戦を勇敢に勝ち抜いてきた誇らしい歴史でもあります。苛酷な日帝の植民地統治に抗い、解放されるその日まで自主独立のために闘い、「6・25動乱」という惨禍を経ながらも歯を食いしばり、破壊された国土を再建したばかりか、祖国近代化を達成し、貧困から脱して世界11大経済大国を建設しました。

 のみならず、わが祖国は国民一人ひとりの力で民主化を成就し、名実共に民主国家として発展しています。また、分断された祖国と民族を統一しようと、あらゆる努力を続け、今日にいたっています。


 親愛なる同胞の皆さん!

 私たちは去る6月、金大中大統領と金正日国防委員長による歴史的な南北首脳会談を大きな感動のうちに見守りました。70万在日同胞は、分断55年の壁を越え、南北が戦争をせず、断ち切られた民族の情愛を蘇らせ、和解と協力を土台に交流をしていこうとの歴史的な「6・15南北共同宣言」を熱烈に支持しています。

 今年の光復節を期して1000万離散家族の再会が始まり、南北閣僚級会談を通して、人道的、経済的交流が本格的に実現しようとしています。今度こそわが民族が苦難の20世紀の歴史に終止符を打ち、21世紀の新しい歴史の章を開く偉大な第一歩踏み出すものと期待されています。

 今やわが民族は南北が力を合わせ、民族の底力を発揮して21世紀の国際化時代を先導する民族として雄飛を期さねばなりません。


 親愛なる同胞の皆さん!

 私たち在日同胞もまた、民族の一員として祖国の歴史と同じ流れの中で恨多い20世紀を生きてきました。日帝の植民地統治によって、日本に強制的にあるいは余儀なく渡って来るようになり、解放以後は祖国の分断と「6・二五動乱」により、この日本の地にあっても同胞でありながら民団、総連に分かれ対立を続けてきました。

 特に、私たちは分裂したまま日本政府と日本社会の不当な差別政策や蔑視と闘わざるを得ませんでした。

 しかし、20世紀の在日同胞の歴史は、わが民族の歴史と同様、数々の逆境と差別を克服してきた強靭かつ賢明な活力に満ちた歴史でもあります。敗戦以後の荒廃した厳しい環境の中でも生活基盤を構築し、日本政府の差別政策に対し、粘り強く闘い、在日同胞の権益を伸張してきました。


 親愛なる同胞の皆さん!

 今や私たちは、20世紀の苦難に満ちた民族史と同胞史を振り返り、逆境に打ち勝ってきた民族の底力と在日同胞の活力を礎に、21世紀の同胞社会の飛躍的な発展のために次の3つの課題を皆さんとともに遂行しようと思います。

 まず、在日同胞の和合と交流を促進し、在日同胞社会の統一を推進しなければなりません。

 去る6月15日、私は民団中央本部の団長として南北首脳会談を契機に、在日同胞の分裂と対立を止揚し、和合と統一を指向しなければならない時が来たと考え、朝鮮総連に対して無条件かつ虚心坦懐に対話をしようと提議しました。在日同胞の和合と交流推進、そして祖国統一への寄与は、全同胞の熱望であり、誰も拒否することのできない時代的な使命でもあります。朝鮮総連に対して、一刻も早く対話のテーブルに着くよう再度訴える次第です。

 朝鮮総連が対話に応じるようになれば、私たちは祖国の平和定着と南北交流に益となる事業を彼らと一緒に論議するでしょうし、北韓に対する支援問題も検討するでしょう。それだけでなく、在日同胞の権益擁護のために共同歩調を取り、力を尽くします。そうすることで、21世紀の早い時期に在日同胞社会の統一を達成し、在日同胞の新しい未来を切り開いていかなければなりません。

 次に、「地方参政権」を今年中、すなわち20世紀中に獲得し、21世紀を生きていく3世、4世の法的、政治的権利を強化しなければなりません。

 私たちは日本政府と日本社会に未だ残っている在日同胞に対する差別を払拭し、永住者として「地方参政権」を獲得することにより、不幸だった韓日関係や在日同胞と日本との歴史に終止符を打たなければなりません。それにより21世紀は国際化に歩調を合わせ、日本社会で仲良く「共生・共栄」する生活者としての土台を確固としたものにしなければなりません。

 第三に、私たち同胞の経済生活の後ろ盾になる信用組合の統合を一刻も早く実現し、全国的銀行を設立するのに全力を尽くさなければなりません。

 私たちが日本で生きていくためには、経済活動が活発でなくてはならず、これを支えるわが民族金融機関が絶対に必要であるのみならず、金融の国際化、自由化時代に相応しい「銀行」を早急に設立しなければなりません。また、このような銀行が発展して私たちの経済的な基盤が強固であってこそ、21世紀に3世、4世がいっそう活力をもって生きることができるのです。

 以上述べてきたこの三つの課題は、21世紀の同胞社会を開く歴史的な課題であり、当面した現実的で切実な課題でもあります。

 20世紀が幕を下ろし、新しい世紀が開こうとする今年の55周年光復節を契機に、在日同胞社会の活力に満ちた豊かな未来に向け、同胞の皆さんとともに団結した力で力強く前進していくことを改めて誓います。


2000年8月15日
在日本大韓民国民団中央本部
団長 金宰淑
(2000.08.15 民団新聞)



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