民団新聞 MINDAN
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21世紀、「文化の時代」創造へ

朴智元・文化観光部長官に聞く



朴智元・文化観光部長官

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2001年は「韓国観光の年」
多彩な観光商品を開発

 文化観光部は文化芸術、宗教、文化財、観光、体育、青少年、言論など、多様な業務を推進する部署だ。それらすべてが、国民生活の質と直結している。日本との関連では、大衆文化の開放や2002年サッカーワールドカップの共催問題を取り扱う。現職の朴智元長官は、去る6月、歴史的な南北首脳会談の韓国側特使として会談を成功裏に導く大車輪の働きを見せた。多忙な日程を調整していただき、朴長官に民団の役割などについて話を聞いた。(聞き手・「哲恩宣伝局長)


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文化予算

 文化観光部に関連して朴長官が就任後、大きく変化した政策についていくつか述べて下さい。特に、推進する中で困難ながらもやりがいを感じた仕事は何ですか。

 朴 この間、文化芸術界の宿願だった文化予算1%を今年度に成し遂げたことにやりがいを感じている。

97年末以後、IMF外貨危機ですべての分野で予算が削減される趨勢にもかかわらず、文化予算だけは99年度に37・1%増加したのについで、今年度には政府予算が4・7%の増加に対し、文化予算は43・5%も増加した。

 このようなことは、21世紀「文化の時代」に対応する金大中大統領と「国民の政府」の確固とした意志とビジョンをはっきり見せるものだ。

 また、「支援はするが干渉はしない」という原則のもと、政府指導はもちろん行事をできるだけ民間に譲り、文化芸術界に自律性と創意性が発揮できるようにした。


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韓日友好、互いのために
双方向の文化交流重要


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日本大衆文化開放

日本の大衆文化開放を契機に、韓国に対する日本人の印象が非常によくなりましたが、韓国の文化を大々的に日本に紹介する計画があれば話して下さい。

 朴 韓日両国が真に友好善隣関係を構築することは望ましいだけでなく、お互いのために不可避なことではないかと、考えている。そして、そのために政府レベルではもちろん国民レベルでも互いを理解しようとする努力を傾けなくてはならない。そのような点から双方向の文化交流が重要だと思う。文化を交流することは、すなわち心を交流することだからだ。特に、両国文化の底流には相当共通する部分が流れている点も鼓舞的なことだ。

 ただ、日本文化はわが国に多く紹介されているが、相対的に韓国の文化は日本にそうたくさん知られていない。だから文化観光部は韓国の文化商品を日本に紹介するため今年末、「文化産業支援センター」を設立、海外マーケティングを総括的に支援する計画だ。

 また、今年8月22日から24日までの3日間、日本の東京ビッグサイトコンベンションセンターで韓日文化産業投資説明会を開催し、韓国の映画、アニメ、ゲーム、音楽、インターネットコンテンツなど、文化商品を積極的に日本へ紹介すると同時に東京ゲームショーなど、日本で開催される各種展示会に韓国の業界の参加を積極支援するようにする。

 昨年10月、東京の赤坂ブリッツで開催された「スーパースターフロムソウル99」公演、今年1月、東京と大阪の「ナンタ」公演、映画「シュリ」の上映をはじめ、日本で観客から好評だった作品も続々発表されている。政府は韓国文化の日本紹介のために、必要な行政的、財政的支援を惜しまない。


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韓国訪問の年

 2001年は「韓国訪問の年」です。昨年は220万以上の日本人が訪韓しましたが、来年にも多くの日本人を訪韓させるための具体的な計画があればお聞かせ下さい。

 朴 最近3年間、韓国を訪れた日本の観光客は98年が195万、99年が218万人で、毎年約12%から17%の増加率を見せており、これは外国人観光客全体の46%を占めている。

 これにともない、2001年の「韓国訪問の年」に日本人観光客を積極誘致するため、朝鮮通信史遺跡文化探訪など、歴史文化観光、美容、ショッピング、体験観光など、多様な観光商品を開発している。

 特に、世界陶磁器祝祭など、10大企画イベントと「李退渓先生誕生500年記念世界儒教者大会」と「安東国際タルチュムフェスティバル」など、15の特別イベントを準備し、体系的に広報している。


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汎国民親切キャンペーンも
2002W杯、在日同胞の参与期待

 また、日本人観光客が安い費用で観光し、ショッピングできるようにするため、航空、宿泊、交通、ショッピング、遊園施設利用時の割引を受けることのできる各種割引制度を拡大実施する予定だ。

 これと合わせ、「韓国訪問の年」を契機に道路標示板への漢字併記、汎国民親切キャンペーン展開など、観光客がより安心して楽しく旅行ができるよう全国民が参加し、努力している。


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2002W杯と民団の役割

2002年のワールドカップ(W杯)の国内準備状況と合わせ、政府は今回のW杯で民団がどのような役割を担ってほしいと望みますか。

 朴 21世紀初、そして韓日両国の共同で開催する「地球村」最大の祝祭である2002W杯は、世界平和に寄与するのはもちろん、韓国の文化、観光など、関連事業を発展させ、国民和合を図ることのできる非常に貴重な機会と考えている。

 われわれはこのようなW杯の成功的開催のために、最善を尽くしている。競技場建設は7月末現在、平均工程が57・81%で、2000年末平均工程は81%を予想し、支障なく競技場を建設できる。

 合わせて、競技力向上、文化、観光など、関連事業の振興、先進文化市民意識の涵養、共同開催国の日本との友好関係定立などにも倍旧の努力を傾けている。

 今回のW杯が韓日の最初の共同開催という点で、民団には特に多くの寄与をしていただくことを期待している。日本のW杯組織委や日本人観光客のための通訳、案内などのボランティアとともに日本の各地域社会で韓日間の理解や友好を強固にするため、各種のイベントを推進することができる。


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日本人学生の韓国修学旅行


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青少年同士の体験交流へ
韓国修学旅行を活性化

幼い頃から韓国を理解させるために、日本人学生の韓国修学旅行が大きな効果があると考えますが、国家的行事として推進するお考えはありますか。

 朴 日本人学生の韓国修学旅行は、韓国に対する理解を助け、同時代の青少年との体験的交流を促進することで、21世紀の韓日親善と友好増進のための基盤を助成するという大きな意義を持っている。

 われわれはこのような点を勘案し、日本人学生の韓国修学旅行がより活性化するよう学校関係者を招請し、修学旅行感想文や写真コンテストを実施するなどの努力を傾けている。

 今後、日本人学生のための多様な見どころ、アミューズメントを開発し、青少年関連の便宜施設や宿泊施設などを持続的に拡充していき、韓国訪問の便宜のために鉄道や航空など、交通手段の確保にもより大きな関心を傾ける。


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韓半島の平和定着

韓半島の平和と安全に、在日同胞が日本で今後どのような役割を果たすことができると思いますか。

 朴 「国民の政府」が持続的に対北包容政策を展開してきたが、その結果、歴史的な南北首脳会談が実現できたことは、日本など周辺国家の持続的な支持が後ろ盾になったからだ。

 韓半島の緊張緩和と平和定着のためには、今後も周辺国家の協助が絶対的に必要で、特に日本の支援が何よりも重要な役割を果たすことができると思う。

 一部には異論があるかもしれないが、北韓の経済的安定ないし発展が北東アジアの安保に重要だという点を考慮しなければならない。最近、われわれが日本の大衆文化に対し、第三次の開放処置を取ったが、前述したように、政府レベルではもちろんだが国民的次元での友好と親善が重要だ。このためにも政府が一定した役割をしなければならない。


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韓半島の緊張緩和・平和定着
周辺国家の共助不可欠


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南北首脳会談実現の意義

最後に、秘密特使として首脳会談を実現させた当事者である長官は、今回の首脳会談で最大の成果が何だと思いますか。また、今後の展望と姿勢についても一言お願いします。

 朴 まず、南北の首脳が分断55年ぶりに初めて顔を合わせ、直接会ったこと自体が一番大きな成果だ。2人が会い、握手を交わしたその瞬間の写真1枚が21世紀の人類に向けて宣布した一番大きな平和のメッセージだと思う。

 次に、南北の首脳が直接会って信頼関係を構築し、南北間に平和と和解、そして共同繁栄のための実践意志を見せたことも重要だ。このたびの首脳会談で南北首脳間で「南北共同宣言」が合意されたが、これと似たような合意は前にもあった。ただ、今回の合意は「実践の可能性」という点で特別な意味を帯びている。

 その証拠として、北韓の対南誹謗中断、越境漁船の即刻送還、南北赤十字会談を北が先に提案し、成功の結実を見たこと、軍事分界線以南での漁獲行為の中断、6・25以後、相互敵対感を誘発する可能性がある行事の中断、南北長官級会談の成功、言論社社長団の北訪問など、いろいろとある。

 重要なことは、われわれが成功裏の出発をしたということだ。わが国のことわざに「始めれば終わったも同然」「千里の道も一歩から」という言葉がある。それがすなわち今、われわれに必要な姿勢だ。

 理想は大きく持ちながらも、少しずつ少しずつ忍耐と寛容の精神で接近しなければならない。南北が各自の目の高さでなく、「民族の目の高さ」で互いを見つめなければならない時だ。そのようにすれば、遠くない将来、わが民族の明るい未来が開かれるものと確信する。

(2000.08.15 民団新聞)



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