民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
世界からの喝采にこたえよう

シドニー五輪、南北韓合同入場行進



 第27回夏季オリンピック・シドニー大会が15日、開幕しました。20世紀の最後を飾る「ミレニアム五輪」として、世界が注目していました。そして世界の人たちが最も喝采を寄せたのは、南北韓選手団の同時入場行進ではないでしょうか。

 「KOREA」のアナウンスが流れ、一本の「韓半島旗」を南北2人の旗手が掲げながら、同じユニフォームで南北選手団の入場行進が始まると、スタンドを埋めた11万人の観衆全員が総立ちとなって大きな拍手の波がわき起こりました。


■対立から和合へのエール

 テレビなどを通じて見守った世界の人々に大きな感動を与えました。そして、何よりも日本に住む私たち七十万在日同胞も、この歴史的な瞬間を胸をふるわせながら見守ったことでしょう。

 「東西冷戦最後の遺物」である南北分断を超えて、南北韓の同時入場が五輪史上初めて実現したことによって、21世紀へとつなぐシドニー五輪は、平和と協調を世界にアピールしました。

 南北同時入場への大拍手は、半世紀を経て対立から和合に向かう南北韓へのエールであるとともに、世界平和と分断国家の統一を願う21世紀へのメッセージでもあるのです。

 分断から50年以上も、対立を続けてきた南北韓ですが、スポーツを中心とした交流の動きはたびたびありました。1991年の世界卓球選手権と世界ユースサッカーなどがその代表的な例としてあげられていますが、つねに大会の後は「決別」が付きものでした。

 しかし、6月に実現した金大中大統領と金正日国防委員長による南北首脳会談によって交わされた歴史的な「6・15南北共同宣言」を契機に、これまでとは違った、希望が持てそうな交流と協調の動きが見られます。

 同時行進はまさにその象徴であり、これからめざす悲願達成への「はじめの一歩」といえるのではないでしょうか。南北韓は今回の同時入場の精神を生かし続け、今後も幅広い分野での交流を積極的に展開していくべきでしょう。


■民団・総連も協調の時代を

 民団と朝鮮総連(総連)の、中央レベルでの対話の窓口がようやく開かれようとしています。

 「6・15共同宣言」を受け、民団は「在日同胞も和合へ対話を」と、6月15日に朝鮮総連に対し「無条件対話」を提議しました。これを受け総連中央本部代表が8月24日、民団中央本部を訪問し、交流・対話のため、中央本部レベルの「協議機構」設置を提案しました。

 そして9月11日、今度は民団中央本部の代表が総連中央本部を訪れ、この提案に同意するとともに、在日同胞の団体として、在日同胞の共通課題解決へ共同で対処していく協議機構と、それをさらに具体化していく「分科委員会」の設置を提議しました。

 民団と総連は、立場を異にしながらも、互いに在日同胞の期待を背負い続けながら半世紀以上にわたって、様々な歴史を乗りこえてきた在日同胞団体です。しかし、今後は在日同胞の生活者団体として力を一つにし、共通の課題を共同で対処していくべきなのです。

 シドニー五輪開会式で世界中の人たちが総立ちで贈ってくれた私たちへのエールに応えるためにも、「6・一五共同宣言」の精神を生かし、和合と協調への道を歩んでいかなければなりません。

(2000.09.20 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ