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民団・総連の本格的対話を



 「考えていることは、総連の人もあまり変わらないじゃないか」。総連との交流を重ねている民団支部幹部がしみじみと語った言葉に実感がこもっていました。

 最近、同胞社会で民団と総連の交流の輪がかつてない広がりをみせています。6月の南北首脳会談を前後して同胞社会では交流の雰囲気が一気に盛り上がり、地方本部、支部単位で着実な交流の芽が育ち始めています。

 中央本部単位では、民団と総連の間で和解と交流を目指した話し合いが行われており、同胞社会ではその行方に大きな関心と期待が集まっています。


■相互不信の解消を

 民団は91年以降、在日同胞社会の和合を目指して総連と組織的に交流していくことを活動方針の柱の一つとして掲げてきました。総連との交流が活発化していることを私たちは大歓迎しています。

 民団と総連は長い間、東西冷戦と南北対立の影響を強く受け、厳しく対立してきました。その結果、両組織の間には相互不信が根強く残り、感情の溝も相当に深くなっているのが実情です。

 同胞社会から「38度線」を取り除き、和合を実現していくために、まず取り組まねばならないのが、相互の不信感の解消です。不信感は口先で何回叫ぼうとも一朝一夕に解消するものではありません。

 地道に交流することがもっとも実効性があり、効果的であるのは言うまでもないことです。直接対話をし、具体的な作業を共同で行うことを通じてこそ、互いに対する理解が深まるのです。

 民団と総連の交流が本格化すれば、共同で行える事業は日本国内から本国関係まで多岐に及ぶことでしょう。

 在日同胞の問題だけを考えても、敬老会、新年会、花見をともに行うのもいいし、囲碁大会やゴルフ大会で親睦を深めるのも良いでしょう。介護保険への対応や高齢者・障害者に対する給付金の支給を自治体にともに求めていくことも可能です。


■協議機構の常設化を

 生活基盤を同じく日本に置く同胞同士が相互の親睦を図り、共通の利益のために共同で対処することになれば、同胞からはもろ手を挙げて歓迎されることでしょう。

 南北の和解と平和定着に関しては、たとえば京義線の連結事業に必要な支援や北韓に対する投資調査を共同で行うことも可能でしょう。必要とあれば、北韓に対する食糧や医薬品の支援を行うことも考えられるでしょう。

 これらの事業を円滑かつ効率的に進めるには、共通の窓口として両組織間の協議機構の設置と、その常設化がなによりも重要となります。

 重ねて言えば、多岐に及ぶ事業を効率よく運営していくために、それぞれの分野で専門性をもつ分科委員会を設置することがより現実的です。

 両組織が共同で事業を行うことになれば同胞の圧倒的な支持を得られるし、両者の力をあわせた以上の力量が発揮できるであろうと思われます。それが同胞社会の活性化につながることも間違いありません。

 在日同胞は民団系であると総連系であるとを問わず、同じ歴史的背景と居住経過を持つ者同士であり、地域社会では日常的に顔を合わせる間柄でもあります。

 この交流を決して一過性の現象に終わらせることなく、また政治的に利用しようとするのでもなく、真に在日同胞社会の和合と発展につなげていきたいものです。

(2000.10.05 民団新聞)



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