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民主平統諮問会議議長

金大中大統領のあいさつ



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「韓半島時代」へ、心を一つに
和解と平和、統一と繁栄へ

 親愛なる民主平和統一諮問会議・日本地域諮問委員の皆さん。

 南北韓関係の新たな時代が開かれようとしている今、在日同胞社会の統一意志と力をひとつにするため、第九期日本地域会議を開催することはとても意義深く思います。

 また、日本地域で変わらぬ意志と念願を持って、祖国の平和的統一のため、献身してきた委員皆さんの労苦に、この席をかりて感謝の言葉を送ります。

 現在、韓半島全域には和解と協力の新たな気運があふれています。

 歴史的な南北首脳会談と離散家族の再会に続いて、「京義線」復元のための起工式も行われました。55年間閉ざされていた民族の動脈を南北が力を合わせてつなげるのです。緊張緩和への南北国防長官会談が開かれ、金正日国防委員長のソウル訪問が来春実現します。

 これらのことは、わずか数カ月前まで想像すらできなかった奇跡のような出来事です。今や誰も戻せぬ民族史の大きな新しい流れが私たちの目の前で展開されているのです。

 これら、すべてのことは諮問委員をはじめとする在日同胞皆さんの熱望と声援のたまものです。全民族構成員の気持ちを結集し、南北和解と平和統一への道を切り開いていくことに献身してくれた皆さんにもう一度感謝いたします。


諮問委員の皆さん。そして在日同胞の皆さん。

 歴史的な南北首脳会談が開かれ四カ月が過ぎようとしています。

 短い期間、めまぐるしい変化の中で私たちは新たな希望と自信を育てています。

 50余年間で積もった不信と反目を洗い流し、民族の和解と協力に向かって着実に前進しています。南北が膝を交えて「6・15南北共同宣言」を実現するための努力を一つひとつ実践しています。

 私は「8・15離散家族再会」の感激を忘れることができません。テレビを通じ報道された、このとてつもない人間ドラマを全世界が驚きの中で見守り、全同胞が涙の中で見守りました。

 いうまでもなく離散家族問題は最も早急に解決しなければならない課題です。残された時間があまりないからです。

 分断という障壁をこえ、半世紀を苦痛と共に過ごさなければならなかった数百万離散家族の人たちに、これ以上待たせ、時を逃すという不幸を繰り返してはいけません。

 このような点で、制限された数ではありますが、今年中に二度の離散家族交換訪問と生死確認および書信交換が行われることは幸いと言えます。

 今後、南北赤十字社間では離散家族問題解決の制度的措置である、離散家族再会面会所の設置問題などを協議していくことになりました。近い将来、離散家族問題がより根本的に解決されていく道が開かれるでしょう。

 去る9月2日には、北への帰国を希望していた非転向長期囚全員を送還しました。

 理由はどうであれ、不幸な歴史によって南北に生き別れとなった家族が再会し、余生を過ごせるようにという措置は、わが国が進んだ人権国家であるということを全世界に再確認させました。

 私はこの措置が今後、北に拉致された人たちや、国軍捕虜問題を解決していく上での契機となることと期待しています。政府は今後、この問題を解決していくために全力を尽くします。


親愛なる諮問委員の皆さん。

 今や韓半島は冷戦の孤島ではありません。

 離ればなれになった家族が再会し、途切れた鉄道がつながれ、閉ざされた空と海が開かれてきました。

 21世紀に向け、平和と跳躍の韓半島時代が開かれつつあるのです。

 京義線が復元されれば、私たちの活動舞台は南だけにとどまらず、韓半島全体はもちろん、ユーラシア大陸へと拡大します。私たちは大陸と大洋をつなぐ世界の中心点となるでしょう。

 活発な人的・物的交流をもとに、南北経済協力への制度的措置が整えられ、民間次元の経済協力が軌道に乗ることでしょう。国際社会の対北韓投資も活発化していくでしょう。

 このように南北間の和解と協力は経済的にも南北双方に大きな利益となるのです。

 また、現在、南と北は国際舞台でも新しい協力関係を築こうとしています。

 私は9月6日、国連ミレニアム・サミットに参席し、わが民族と全世界の前で、今後、南北が共にめざしていくべき目標を明示しました。

 それは一言でいうと、南北平和共存と和解協力の実現です。赤化統一も吸収統一も排除し、戦争の恐怖から抜け出すことです。

 このような平和の基盤上で、経済、社会、文化など、あらゆる分野で交流と協力を増進させていくのです。

 国連はミレニアム・サミット共同議長名義で「6・15南北共同宣言」に対する支持声明を採択するとともに、私のこのような意志を全面的に支持してくれました。

 和解と平和のための南北韓の共同努力は、人類の共同繁栄をめざす世界史の潮流にこたえたものなのです。国際社会の全面支持は当然のものであり、今後も持続的な支持と声援を受けるものと確信しています。


親愛なる諮問委員のみなさん。

 南北関係はこれからが始まりです。今からがより重要だということを私たちは心に刻まねばなりません。

 私たちの究極的な目標は統一です。しかし、それを私たちの当面課題とみなしてはなりません。統一はどれだけ長い歳月がかかろうとも、必ず平和的に成し遂げねばなりません。あわてて、すべての問題を解決しようと急いではなりません。

 南北双方が利益となることから、実践しやすいことから一つひとつ解決していかねばなりません。

 交流と協力を多角的に活性化していくと同時に、緊張緩和と平和定着のための努力を地道に傾けていかねばなりません。平和のない協力、協力のない平和は、すべて限界に達してしまうからです。

 これまで積み重ねてきた成果を土台に、南北関係がいかなる状況変化にも揺らぐことなく進展できるよう、相互信頼の基盤をより強固にしていくことが何よりも重要なのです。

 私たちは今、せっかく迎えた貴重な機会を生かさなければなりません。

 今まさに鍵が解かれた南北和解と平和統一の門を開けることこそが、歴史と時代の使命にこたえる私たちの責務と言えるでしょう。

 私たちがこのような歴史的使命を全うするためにはまず内から和合し団結せねばなりません。

 このような民族の和合と団結の中心的な位置には、常に日本地域諮問委員の皆さんがいるということを私は知っています。

 民族史的に特殊な状況の中にいながらも、あらゆる困難と逆境を克服しながら、韓民族を代表するというプライドを守ってきました。

 私は委員皆さんの意志と力を一つに集め、祖国が世界一流国家に上りつめられるよう、持続的な改革と知識情報化を成就させ、統一時代を準備していきます。


親愛なる日本地域諮問委員の皆さん。

 世界が私たちを注視しています。私たちはやり遂げました。私たちはやり遂げられます。私たちは世界の中心に立つ「韓半島時代」に向け、すべての民族構成員が心を一つにして前進していかねばなりません。

 わが民族が世界のどこにいても民族的使命を忘れず、人類の共同繁栄に尽くしながら、和解と平和、統一と繁栄のために同胞社会の力を結集していけば、偉大な民族として世界史に残すことでしょう。

 本日の会議が私たちのこのような意志を再確認、実践へのあたらな決意となることを期待します。

 健勝を祈ります。

 2000年10月4日
 民主平和統一諮問会議 議長
 大統領 金大中

(2000.10.05 民団新聞)



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