民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
統一と「在日」の有様考える

同胞有識者がシンポ



■□
同胞和合推進へ努力
日本人との市民的共生も

 南北首脳会談後の本国の関係改善を踏まえ、14日、東京の主婦会館で在日同胞の有識者によるシンポジウム「新しい時代の胎動と在日同胞の選択」が開かれた。約100人の参加者は、国家やイデオロギーに縛られず、在日同胞のリーダーシップで同胞社会を一つにし、同胞が互いに助け合う環境づくりのために先駆的な役割を果たそう、と認識を一つにした。

 同シンポを呼びかけたのは在日同胞の学者や弁護士らで、同胞有識者を対象に実施したアンケートの結果、開催を望む多くの意見で実現したもの。

 開会あいさつで李博盛弁護士は、「首脳会談やシドニー五輪の同時入場などで統一祖国をイメージできるようになった。統一と在日の有り様について、自由で開かれた討論の場にしよう」と呼びかけた。

 シンポは「新しい南北関係」「統一への前途」「在日同胞の選択」の三つのセッションで、在日同胞の生活を考える会の金奎一代表がそれぞれ問題提起を行い、パネリストや参加者の意見を討論に反映させる進行となった。

 金代表は「新しい南北関係」について、双方が対立の悪循環から正当性ある主権国家と認めあう「善循環」に変わる契機をつくったと評価し、「民族主義」「自主」「共通利益のための団結」の理念を盛り込んだ「共同宣言」の実現は2人の指導者の双肩にかかっていると提起しつつも、南北関係が決裂すれば蔑みの対象になる懸念も示した。

 これに対して、パネリストのつくば大の李相茂教授は、「吸収統一か、武力統一か。祖国は一触即発の危機もあったが、重要なことは会談の継続だ」と述べ、ジャーナリストの金総領氏は「利益が一致すれば南北は手を結ぶが、北は食糧危機の克服と開かれた民主主義への問題を抱え込まざるをえない。指導者だけの問題ではない」と反論した。

 会場からは「和解への兆しは権力側からで民衆側の動きではない」「対立要因である軍事面での条項が盛り込まれていない共同宣言は欠陥」と批判的な声もあがったが、「国境もあり、政権が前面に出ないと民衆の交流もない」「駐韓米軍は統一への役軍として役割を変えることもありうる」「権力者の恣意的判断を許さないためにも大衆の監視を」との意見が相次いだ。

 このほか、「在日同胞の選択」で金代表は、日本人との市民的共生と本国との民族的団合という両義性を土台に生きることを提起した。

 これに対して実業家の都相太氏は「在日の力で非武装地帯の鉄道建設を推進しよう」と訴え、神戸朝日病院の金守良委員長は神戸まつりの民団と総連のパレード参加を例にあげながら、「民族的アイデンティティを守るために民族の大同団結と祖国のことを知る努力が必要だ」と述べた。

(2000.10.18 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ