民団新聞 MINDAN
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東海豪雨から1カ月

明かり見えぬ被災同胞



床板も抜け、居住が
不可能となった同胞宅

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家屋復旧、メド立たず
板金工場、廃業の危機に

 【愛知】年間降水量の3分の1に当たる600ミリという集中豪雨と新川の堤防決壊で被害が拡大した9月11日の東海豪雨。愛知県内で6万5000戸以上が浸水被害を受け、また死者6人、重軽傷84人の人名被害を出した。

 愛知県下の同胞家屋220戸も浸水被害(床上188戸、床下32戸)を受けた。

 水が引き、ゴミの山が映し出される背景に、家々が見えるテレビのニュースには、阪神大震災時のように家屋が倒壊し、火災が広がっているという映像はない。そこから実際の被害は理解できない。

 在日同胞が密集する新川町西堀江地区は、ほとんどの家屋が床上浸水し、壊滅的な打撃を受けた。ボートでなければ現地に近づけないため、水位が下がるのを待って民団のボランティア隊が駆けつけた。しかし、家々の中は水に浸かった家財道具が散乱し、手が付けられない状況だった。

 ボランティアによって、使用不能となった家財道具を搬出すると、そこには家屋の残骸だけが残った。古い木造家屋では、床はめくれあがり、壁はごっそりと抜け落ちた。かろうじて柱と屋根だけで、居住者の生活は奪われた。家具、電化製品、衣類など失った家財道具や家屋の再建までには、どの程度の費用がかかるか分からない。

 ある比較的新しい家でも、一階の畳は使用不能で、タンス3棹は中の衣類ごと失った。ファックス、パソコン、エレクトーンなどほとんどの電化製品がゴミとなった。

 洗剤を納めた倉庫が浸水し、商品二トンは商品価値を失った。ウエス加工業者もウエスの製品、原料が水に浸かったために廃棄処分となった。板金加工業者は機械が使用不能となり、復旧にかかる数千万円のめどはなく、「廃業するしかない」と頭を抱える。浸水した自動車は全損で、車両保険だけでは修理はまかなえない。

 水害から1カ月経った今も、西堀江地区は床がめくれたままの空き家状態となっている。知人、親類の家で避難生活を送らざるを得ず、家屋復旧にも見通しはない。年金がある日本人でさえも家屋の修理費が捻出できずに、未だ同胞を含めて80人が避難所で炊き出しに頼って生活を送っている。

 職場が倒産した会社員には何の補償もなく、家屋の掃除のかたわら職安通いが続いている。自営業者も、再建のための資金調達に奔走しているが、大半がめども立っていない。

 被災から1カ月―。水害の恐怖は、真綿で首を絞めるかのように、被災者に広がっている。


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「予想以上の被害」
民団愛知、義援金を継続呼びかけ

 【愛知】民団愛知県本部(権泰洙団長)では、東海豪雨で被害を受けた同胞の救済のために、連日にわたって本部・支部役員が同胞宅を訪問し、義援金の募金を求めて回っている。

 最も多くの被災者を出した民団新西支部には、現在でも避難生活をしていた同胞から被災届が相次ぐなど対応に奔走。連日本部から役員らが駆けつけ、業務補助に当たっている。

 本部・支部では、10億円という同胞の被害総額と水害被害からの復旧が長期化していることから、多くの同胞に善意の募金を寄せてほしいと呼びかけている。


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義援金口座は
愛知商銀本店・普通預金133164
愛知集中豪雨見舞金・権泰洙(こんてす)。

(2000.10.18 民団新聞)



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